復讐のために近づいたのに、冷徹御曹司の溺愛から逃れられない
お葬式が済んで、父の書斎を整理していた時だった。

偶然、父の日記を見つけてしまった。

今更、父の死因を知っても戻って来ないと言うのに。

私は無意識に、そのページを捲った。

【吸収合併されたら、この会社は終わりだ】

「え?」

その文字が目に入り、またページを捲る。

【またあの男がやってきた。あいつは悪魔だ。人の会社を切り刻んで自分の利益にしている】

手が震えた。

【もう終わりだ。私がこの世界にいる理由はもうない】

「お父さん……」

そして最後のページを捲った。

【神城明哉。あいつは誰かに復讐されればいい】

―――神城明哉。

その名前だけが、異常に浮かび上がる。

「この人が父を殺したのね」

私は静かに、父の日記を閉じた。
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