復讐のために近づいたのに、冷徹御曹司の溺愛から逃れられない
その時だった。

社長室のドアが開いて、神城明哉が会議から戻って来た。

「一条。この会議資料、今すぐにまとめてくれ」

「はい」

差し出された資料を、慌てて受け取る。

「それから、会議で指摘があった。稟議書を受け取りにくる時間がバラバラだと」

「時間を決めて行きます」

「そうしてくれ」

まるで彼は、笑奈様のことが目に入っていないようだ。

私はちらっと、笑奈様を見た。

「ん?」

すると彼は、笑奈様を見て一言だけ告げた。

「悪い、笑奈。今日は対応が難しそうだ」

そう言われて笑奈様はスッと立ち上がる。

「分かりました。今日はお暇します」

そして彼女は、何でもなかったかのように、社長室を出て行った。
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