授業サボったら、副会長と毎日会うことになった件
「はぁ...」
俺は激しく後悔していた。
俺の名前は伊集院 碧。
成績優秀、スポーツ万能しかも顔がいい、モテ男を絵にした男だ。自分でかっこいいのは自覚している。なんなら毎日鏡を10分以上見ている。
俺は高2で、青春を味わいたいお年頃なのだ。そして、その時チャンスが来た。
「今日合コン行くんだけど。可愛い子居るから一緒に行こうぜ?麗華ちゃんって言う子がめっちゃ美人だから。」
俺は興味津々だった。高校生で合コンは早いとクラスの優等生女子が口を挟んでくるが、お構いなし。
チャラ男そうな俺の友達、鷺宮 斗真。イケメンで陽キャ。良き友人だ。少し浮気するところがあるけど。
そして「合コン行く?」の質問の答えは、もちろんYESだ。
そう言おうと口を開いた時、ピンポンパンポン、という放送チャイムが鳴る。スン、とクラスに沈黙が落ちた。
『伊集院 碧、伊集院 碧。今から生徒会室に向かいなさい。』
副会長らしき女子の声が聞こえ、放送が終わった後再び話し声や笑い声が聞こえてくる。
俺は脳処理に時間がかかった。けど斗真が再起動させてくれた。
「おーい。生きてるか?とりま行っときなよ。」
「...めんど〜。でも後から叱られんのもやだし。」
「あーもう最悪」と悪態をつきながら、俺は生徒会室に向かった。廊下で俺に視線が集まる。やっぱ今の放送のヤツだよな。
生徒会室の前まで来て、ノックしようかと思ったけど、やめた。
そのままドアを開くと────、
「ちょっとあんた礼儀ってものが無いの!?」
信じられないと言うように副会長が鋭い声を上げた。
思わず顔をしかめる。地味に耳が痛い。
そんな様子の俺を見て、もっと副会長は逆上した。
「お前いい加減にしなさい!」
ついに"あんた"から"お前"に変わった。ていうか副会長って元々素の性格が悪いよな。
「もう何ですか?副会長。大人気ないですよ。」
俺は耳を塞いでうるさいアピールをする。
「はぁっ!?大人気ないのはそっちでしょ!」
これ以上口論を続ける訳にも行かないので、俺は促す。
「で?何のお呼び出しですか?」
副会長は我に返ってように顔を一瞬赤らめて、「こほん。」と一息つく。その一瞬の赤面が、不覚にも可愛いと思ってしまった。
思わず目を逸らす。耳が熱い。きっと副会長から見た俺は滑稽に映っているだろう。
「か、顔赤いけど...。」
何故か副会長も顔を赤らめて図星をついてくる。俺は言い返せる言葉も無いので、意地を張る。
「......別に。気のせいじゃないですか。副会長だって。」
俺も赤面しながらもプライドが許さないので負けじと言い返す。
副会長はもっと顔が紅潮する。その無防備な顔が可愛い。いや気持ち悪すぎだろ、無防備とか。
副会長と俺の間に気まずい沈黙が落ちる。
この沈黙がいたたまれないと感じたのか、しどろもどろになりながらも口を開いた。
「と、とりあえず、あなたの素行について話すから...」
さっきの鋭い声は何処へ行ったのか。
副会長が赤面しながらも必死に会話を続けようとする努力は、なんか無性に庇護欲を掻き立てられる。今日の俺変じゃね?と自分でも思う。
「え、っと...。そ、その、あなたは、一週間に一回は必ず授業をサボっていますね?」
やっと冷静さを取り戻したのか、赤面は消え真面目な優等生の仮面を被り直す副会長。
てか一週間に一回しか授業サボってないだから、別に良くね?
俺の顔の紅潮も冷め、冷静(?)な思考が横切る。でも周りから見たらそれは不良に見えるのか。
つくつぐ誰しも基準が違うと改めて理解する。
「だから、授業をサボるのはやめてください。」
「そんな授業サボったくらいで全生徒が聞こえてる環境の中で放送するのかよ。」
思わず素で突っ込む。
副会長は意味不明という顔で眉間に皺を寄せる。
「授業サボったくらい?あなたとは一切分かり合えない境遇にいますね。」
冷たい言葉を投げられる。でも俺はどうにも思わない。
副会長は口を開く。
「...そして、あなたには大事な任務があるのです。」
任務、というヒーローみたいな言葉に俺は呆れた顔をすると、副会長は「なんか文句あんのか?」という目で睨んでくる。
俺は目を逸らして両手を上げて降参のポーズをする。こんなのアニメでしかやんないだろ、と思いながら、ちらりと副会長を見る。
「今から1ヶ月間、7時まで生徒会の書記をしなさい。もちろん強制だから。」
「さようなら。」
俺は踵を返してドアに高速で向かう。
「何やってんのよ!ダメっ!」
ダメッって言うの可愛いな、と普段の俺からじゃ想像もできない感情を抑えながら、俺は否定する。
「無理です!強制なんてもってのほか!」
「これはちゃんとした理由があるのっ!聞けやコラ!」
「副会長が言うセリフじゃないですよそれ!」
副会長は俺の手を掴み、椅子に座らせようとするが、俺は抵抗する。お互い引っ張り合いになる。
すると、俺が思わずコケてしまい、運悪く副会長に向かって倒れる。男女の体重差で副会長は抵抗する暇もなく一緒に倒れる。
ギリギリで両手をつく。視界いっぱいに、副会長の顔が必然的にどアップにされる。
近くで見るともっと可愛い。このまま襲ってしまいたい衝動を抑え、とにかく起き上がろうとする。
もしここで誰か来たら俺の評判はドン底。「副会長に床ドンしてるモテ男」というレッテルを貼られてしまう。
副会長は顔を真っ赤にしながら起き上がる。一定の距離をお互い作り、またにしても気まずい沈黙が落ちる。
これはお互い気まずい。気まずすぎる。
副会長は体操座りして膝に顔を埋めた。耳が真っ赤。そして俺は前髪を触るフリしてどんどん熱くなっていく肌を必死に隠す。
でもこのままでもどうしようもないので、俺は躊躇しながらも口を開く。
「......ごめん。」
副会長は顔を上げる。顔がめっちゃ紅潮していて、涙目にもなっている。
「べ、別に?構わないわよ...」
そしてお互いバッと顔を背ける。
「君たち、付き合ってるのかな?」
ビクッと肩が震えた。
恐る恐る顔を向けると、いたのは生徒会長。優しい爽やかモテモテ会長、という長いのか普通なのか分からないあだ名をつけられている。確か...、名前は五十嵐 湊。
「やあ、神宮司 紗奈さんと...、君は...、伊集院 碧くんだっけ?」
眩しすぎる笑みであははっと妙に胡散臭く笑う。
しかも何でフルで言うんだよ、というツッコミは、俺以外しないのだろうか。
「えっと、会長...。」
ていうか一部始終見られてたらヤバくね?と内心汗をかきながら、とりあえず気ごちない笑みを浮かべる。作り笑いというヤツだ。
「あ、はい。そうです。じゃあまた今度。」
俺を引き止める間も作らないようにさっさと立ち上がって生徒会室を出る。
もう空は暗くなっていて、廊下には誰もいない。疲れと焦りで俺は、深い深いため息をついた。
俺は激しく後悔していた。
俺の名前は伊集院 碧。
成績優秀、スポーツ万能しかも顔がいい、モテ男を絵にした男だ。自分でかっこいいのは自覚している。なんなら毎日鏡を10分以上見ている。
俺は高2で、青春を味わいたいお年頃なのだ。そして、その時チャンスが来た。
「今日合コン行くんだけど。可愛い子居るから一緒に行こうぜ?麗華ちゃんって言う子がめっちゃ美人だから。」
俺は興味津々だった。高校生で合コンは早いとクラスの優等生女子が口を挟んでくるが、お構いなし。
チャラ男そうな俺の友達、鷺宮 斗真。イケメンで陽キャ。良き友人だ。少し浮気するところがあるけど。
そして「合コン行く?」の質問の答えは、もちろんYESだ。
そう言おうと口を開いた時、ピンポンパンポン、という放送チャイムが鳴る。スン、とクラスに沈黙が落ちた。
『伊集院 碧、伊集院 碧。今から生徒会室に向かいなさい。』
副会長らしき女子の声が聞こえ、放送が終わった後再び話し声や笑い声が聞こえてくる。
俺は脳処理に時間がかかった。けど斗真が再起動させてくれた。
「おーい。生きてるか?とりま行っときなよ。」
「...めんど〜。でも後から叱られんのもやだし。」
「あーもう最悪」と悪態をつきながら、俺は生徒会室に向かった。廊下で俺に視線が集まる。やっぱ今の放送のヤツだよな。
生徒会室の前まで来て、ノックしようかと思ったけど、やめた。
そのままドアを開くと────、
「ちょっとあんた礼儀ってものが無いの!?」
信じられないと言うように副会長が鋭い声を上げた。
思わず顔をしかめる。地味に耳が痛い。
そんな様子の俺を見て、もっと副会長は逆上した。
「お前いい加減にしなさい!」
ついに"あんた"から"お前"に変わった。ていうか副会長って元々素の性格が悪いよな。
「もう何ですか?副会長。大人気ないですよ。」
俺は耳を塞いでうるさいアピールをする。
「はぁっ!?大人気ないのはそっちでしょ!」
これ以上口論を続ける訳にも行かないので、俺は促す。
「で?何のお呼び出しですか?」
副会長は我に返ってように顔を一瞬赤らめて、「こほん。」と一息つく。その一瞬の赤面が、不覚にも可愛いと思ってしまった。
思わず目を逸らす。耳が熱い。きっと副会長から見た俺は滑稽に映っているだろう。
「か、顔赤いけど...。」
何故か副会長も顔を赤らめて図星をついてくる。俺は言い返せる言葉も無いので、意地を張る。
「......別に。気のせいじゃないですか。副会長だって。」
俺も赤面しながらもプライドが許さないので負けじと言い返す。
副会長はもっと顔が紅潮する。その無防備な顔が可愛い。いや気持ち悪すぎだろ、無防備とか。
副会長と俺の間に気まずい沈黙が落ちる。
この沈黙がいたたまれないと感じたのか、しどろもどろになりながらも口を開いた。
「と、とりあえず、あなたの素行について話すから...」
さっきの鋭い声は何処へ行ったのか。
副会長が赤面しながらも必死に会話を続けようとする努力は、なんか無性に庇護欲を掻き立てられる。今日の俺変じゃね?と自分でも思う。
「え、っと...。そ、その、あなたは、一週間に一回は必ず授業をサボっていますね?」
やっと冷静さを取り戻したのか、赤面は消え真面目な優等生の仮面を被り直す副会長。
てか一週間に一回しか授業サボってないだから、別に良くね?
俺の顔の紅潮も冷め、冷静(?)な思考が横切る。でも周りから見たらそれは不良に見えるのか。
つくつぐ誰しも基準が違うと改めて理解する。
「だから、授業をサボるのはやめてください。」
「そんな授業サボったくらいで全生徒が聞こえてる環境の中で放送するのかよ。」
思わず素で突っ込む。
副会長は意味不明という顔で眉間に皺を寄せる。
「授業サボったくらい?あなたとは一切分かり合えない境遇にいますね。」
冷たい言葉を投げられる。でも俺はどうにも思わない。
副会長は口を開く。
「...そして、あなたには大事な任務があるのです。」
任務、というヒーローみたいな言葉に俺は呆れた顔をすると、副会長は「なんか文句あんのか?」という目で睨んでくる。
俺は目を逸らして両手を上げて降参のポーズをする。こんなのアニメでしかやんないだろ、と思いながら、ちらりと副会長を見る。
「今から1ヶ月間、7時まで生徒会の書記をしなさい。もちろん強制だから。」
「さようなら。」
俺は踵を返してドアに高速で向かう。
「何やってんのよ!ダメっ!」
ダメッって言うの可愛いな、と普段の俺からじゃ想像もできない感情を抑えながら、俺は否定する。
「無理です!強制なんてもってのほか!」
「これはちゃんとした理由があるのっ!聞けやコラ!」
「副会長が言うセリフじゃないですよそれ!」
副会長は俺の手を掴み、椅子に座らせようとするが、俺は抵抗する。お互い引っ張り合いになる。
すると、俺が思わずコケてしまい、運悪く副会長に向かって倒れる。男女の体重差で副会長は抵抗する暇もなく一緒に倒れる。
ギリギリで両手をつく。視界いっぱいに、副会長の顔が必然的にどアップにされる。
近くで見るともっと可愛い。このまま襲ってしまいたい衝動を抑え、とにかく起き上がろうとする。
もしここで誰か来たら俺の評判はドン底。「副会長に床ドンしてるモテ男」というレッテルを貼られてしまう。
副会長は顔を真っ赤にしながら起き上がる。一定の距離をお互い作り、またにしても気まずい沈黙が落ちる。
これはお互い気まずい。気まずすぎる。
副会長は体操座りして膝に顔を埋めた。耳が真っ赤。そして俺は前髪を触るフリしてどんどん熱くなっていく肌を必死に隠す。
でもこのままでもどうしようもないので、俺は躊躇しながらも口を開く。
「......ごめん。」
副会長は顔を上げる。顔がめっちゃ紅潮していて、涙目にもなっている。
「べ、別に?構わないわよ...」
そしてお互いバッと顔を背ける。
「君たち、付き合ってるのかな?」
ビクッと肩が震えた。
恐る恐る顔を向けると、いたのは生徒会長。優しい爽やかモテモテ会長、という長いのか普通なのか分からないあだ名をつけられている。確か...、名前は五十嵐 湊。
「やあ、神宮司 紗奈さんと...、君は...、伊集院 碧くんだっけ?」
眩しすぎる笑みであははっと妙に胡散臭く笑う。
しかも何でフルで言うんだよ、というツッコミは、俺以外しないのだろうか。
「えっと、会長...。」
ていうか一部始終見られてたらヤバくね?と内心汗をかきながら、とりあえず気ごちない笑みを浮かべる。作り笑いというヤツだ。
「あ、はい。そうです。じゃあまた今度。」
俺を引き止める間も作らないようにさっさと立ち上がって生徒会室を出る。
もう空は暗くなっていて、廊下には誰もいない。疲れと焦りで俺は、深い深いため息をついた。


