黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい
そのまま馬車に戻り乗り込むとすぐに出発する。

「オーロラ。お前何をしたんだ?」

シーヴァが馬車の中で不思議そうにオーロラをじっと見ている。

「お前があの女性の背中をさすってやったことで死の色が消えた気がした」

「え?何もしていませんよ。ただ、祈っただけです。お義母様の看病をしたときと同じ。わたしは人が元気になってほしいって常に思っているのです」

「人が?」

「ええ。だからその祈りが神に通じたのかもしれませんね」

「ふうん」

不思議そうにオーロラを見ながらシーヴァはさらに考え込んでいた。
兄の前で治癒術を見せたのはまずかったかしら?
でもあの女性を救うのに兄の目を気にしている余裕はなかった。だから仕方ない。

馬車に揺られながらその後兄がつぶやいた。

「今日は行ってよかったよ」

「え?」

「いや、最初は憎い女を懲らしめようと思ってたんだがな」

「……」

「あの女性も父の被害者なんだなと思ってな」

「お兄様」

今まで考えたこともなかったが兄も父の横暴はよく思っていないのだろうか。

「俺は父上のようにはならない。結婚はひとりの女性とすると決めている」

「え?」

力説する兄にびっくりしてしまった。

「なんだよ」

「いえ、公爵家の後継ぎたるお兄様ですから何人もの女性を妻にするのかと思っておりましたので」

「俺がいつそんなことを言った?俺は小さい頃から父を見ているんだぞ。母が苦しんでいるところもな。絶対にひとりの女性としか結婚しない」

「そ、そうですか」

「ああ」

そんなことを思っていたとは。

「問題は相手だ」

「え?」

そういえば兄には婚約者がいない。

「父上はお前たちを政略結婚させて権力を得ることには必死だが、俺のことは放ったらかしだからな。婚約者など決めようともしない。まぁ勝手にやれということだろうな」

兄にも悩みはあるのだなと思った。

「大丈夫ですわ。そのうち見つかりますから」

そういいながら、前世では自分が死ぬときも兄は結婚していなかったのを思い出した。

「うーん。でもがんばらなくちゃ見つからないかも」

「そうだな。頑張って婚活してみるか」

シーヴァはおどけたような顔を作ってからしばらく窓の方を見ていた。
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