黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい
7.シフォンケーキで
「オーロラ嬢、待たせたね」
「ウォルター殿下。ご機嫌麗しゅう」
今日は初王太子妃の教育の日。家庭教師にみっちり絞られた後、侍女のケイトに案内されて王太子宮のガラス張りのテラスで待っていたらウォルターがやってきた。
今日はあいにくの雨で急遽テラスに変更されたらしい。
挨拶して立ち上がって目の前に背の高いウォルターを見て今日は色気満開で思わず赤面しそうになった。
雨のせいか金色の髪にうねりが加わっており、それが色気を増長させている。
何このカッコよさ。
やめてほしい。
「ここで食べよう。雨で星は見えないけどね」
星なんてどうでもいいと思うくらいあなたを見てるだけで色気にやられそうですと思いながらオーロラは表情を崩さずウォルターがエスコートしてくれるがままに椅子に座る。
「では、食べようか」
「はい」
食事はさすが王宮のシェフと思うような美味しいものばかりだったが、そんな中でもでてきたパンには驚いた。
「これは……」
母のクロワッサンの味が見事に再現されていたのだ。
「おいしいね」
「はい」
侍女たちがまわりにいるから大袈裟に驚くわけにもいかないがあまりに懐かしい味で涙が出そうになる。
「おいしいです。ありがとうございます」
「勉強のほうは問題なさそうだね」
「え?」
「王宮の教師たちは驚いていたよ。あまりに素晴らしい成績だってね」
それはそうだ。一度やっていることだから。
だけど二度同じことを学ぶと忘れていることとか覚え忘れていることに気づけていいと思う。
前世では魔術の話なんて実務に関係ないと思って適当に聞いていたが、聞いてみると奥深いものだ。
いろんなことがわかる。
「学んでみるといろいろ自分が知らないことが多いことに驚きます。とても楽しく勉強させていただいております」
かしこまってそういうとウォルターは「ふふ」と笑った。
「さすがだね。君はどんどん成長していく」
「そんなことは……。ただ、勉強は好きですわ」
「わたしは勉強は好きだと思ったことはないかな」
「え?意外ですね。すごく何でもできそうでいらっしゃいますわ」
「剣術は好きだけどね」
「まぁ」
そのままとりとめのない話をしていたら気づけば夜も更けてきている。
そろそろお暇しなければと思っていると、外から兵士がひとり入室してきた。
「殿下。今宵はぬかるみがひどくもう馬車を出せそうにありません」
え?そんなに降っているの?
「そうか。かなりの雨量だとは思っていたが」
「はい。さらに気象士の予報では朝にかけてさらに強くなると」
前世でもこの時期に季節はずれの豪雨が起きた記憶はある。それが今日だったということ?
前世では王太子妃の教育が終わったらすぐに屋敷に戻っていたから夜まで残ることなんてなかったものね。それで覚えていないのだわ。
「雨による被害などは?」
「現在報告はございません」
「注意は怠るな」
「はっ!」
真っ先に国の心配をしている。ウォルターらしい。
「では、公爵家に遣いを。オーロラ嬢は雨が上がり次第送り届けると」
え?
それって、王宮に泊るという意味?
「あのう……。わたしはここに泊ることになるのでしょうか?」
「ああ。そうなる。仕方があるまい。ケイト。オーロラ嬢の部屋を大至急整えるように」
「はい。お部屋はどちらに?」
「王太子妃の部屋でよい」
え?
まだ王太子妃ではないのにそこを使うの?
「僭越ながら殿下。そちらのお部屋はまだわたしには……」
「問題はない。わたしが良いと言っているのだ。はやくせよ」
「はい。かしこまりました」
バタバタと使用人たちが散っていく。
テラスにいるのはウォルターとオーロラ、そして護衛騎士がふたりだけになった。
「オーロラ。はじめてのお泊りだね」
そっと耳元に口をつけてささやかれ、オーロラは唖然としてウォルターを見た。
「殿下!」
まさか。そういう行為をしようとしているわけじゃないわよね?
「ウォルター殿下。ご機嫌麗しゅう」
今日は初王太子妃の教育の日。家庭教師にみっちり絞られた後、侍女のケイトに案内されて王太子宮のガラス張りのテラスで待っていたらウォルターがやってきた。
今日はあいにくの雨で急遽テラスに変更されたらしい。
挨拶して立ち上がって目の前に背の高いウォルターを見て今日は色気満開で思わず赤面しそうになった。
雨のせいか金色の髪にうねりが加わっており、それが色気を増長させている。
何このカッコよさ。
やめてほしい。
「ここで食べよう。雨で星は見えないけどね」
星なんてどうでもいいと思うくらいあなたを見てるだけで色気にやられそうですと思いながらオーロラは表情を崩さずウォルターがエスコートしてくれるがままに椅子に座る。
「では、食べようか」
「はい」
食事はさすが王宮のシェフと思うような美味しいものばかりだったが、そんな中でもでてきたパンには驚いた。
「これは……」
母のクロワッサンの味が見事に再現されていたのだ。
「おいしいね」
「はい」
侍女たちがまわりにいるから大袈裟に驚くわけにもいかないがあまりに懐かしい味で涙が出そうになる。
「おいしいです。ありがとうございます」
「勉強のほうは問題なさそうだね」
「え?」
「王宮の教師たちは驚いていたよ。あまりに素晴らしい成績だってね」
それはそうだ。一度やっていることだから。
だけど二度同じことを学ぶと忘れていることとか覚え忘れていることに気づけていいと思う。
前世では魔術の話なんて実務に関係ないと思って適当に聞いていたが、聞いてみると奥深いものだ。
いろんなことがわかる。
「学んでみるといろいろ自分が知らないことが多いことに驚きます。とても楽しく勉強させていただいております」
かしこまってそういうとウォルターは「ふふ」と笑った。
「さすがだね。君はどんどん成長していく」
「そんなことは……。ただ、勉強は好きですわ」
「わたしは勉強は好きだと思ったことはないかな」
「え?意外ですね。すごく何でもできそうでいらっしゃいますわ」
「剣術は好きだけどね」
「まぁ」
そのままとりとめのない話をしていたら気づけば夜も更けてきている。
そろそろお暇しなければと思っていると、外から兵士がひとり入室してきた。
「殿下。今宵はぬかるみがひどくもう馬車を出せそうにありません」
え?そんなに降っているの?
「そうか。かなりの雨量だとは思っていたが」
「はい。さらに気象士の予報では朝にかけてさらに強くなると」
前世でもこの時期に季節はずれの豪雨が起きた記憶はある。それが今日だったということ?
前世では王太子妃の教育が終わったらすぐに屋敷に戻っていたから夜まで残ることなんてなかったものね。それで覚えていないのだわ。
「雨による被害などは?」
「現在報告はございません」
「注意は怠るな」
「はっ!」
真っ先に国の心配をしている。ウォルターらしい。
「では、公爵家に遣いを。オーロラ嬢は雨が上がり次第送り届けると」
え?
それって、王宮に泊るという意味?
「あのう……。わたしはここに泊ることになるのでしょうか?」
「ああ。そうなる。仕方があるまい。ケイト。オーロラ嬢の部屋を大至急整えるように」
「はい。お部屋はどちらに?」
「王太子妃の部屋でよい」
え?
まだ王太子妃ではないのにそこを使うの?
「僭越ながら殿下。そちらのお部屋はまだわたしには……」
「問題はない。わたしが良いと言っているのだ。はやくせよ」
「はい。かしこまりました」
バタバタと使用人たちが散っていく。
テラスにいるのはウォルターとオーロラ、そして護衛騎士がふたりだけになった。
「オーロラ。はじめてのお泊りだね」
そっと耳元に口をつけてささやかれ、オーロラは唖然としてウォルターを見た。
「殿下!」
まさか。そういう行為をしようとしているわけじゃないわよね?