黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい
目の前ではすでに奴隷のオークションが開始されており、周りにすわっている貴族や大商人たちは前に出てくる奴隷に必死だ。
奴隷はひとりずつ檻に入れられた状態で前の舞台に上げられ、奴隷の特徴が述べ立てられていく。
「ひどいな」
「ええ」
奴隷たちは粗末な一枚もののワンピースを着せられておりだいたいがうなだれている。顔には生気がなくなされるがままになっていた。
ウォルターがずっと握り続けている手に思わず力を入れているのがわかる。
オーロラは主催者側の者の顔をひとりずつ入念に目に焼き付けていた。
もしかしたら知っている顔がいるかもしれない。
前世で会ったことがある者などいないだろうか?
入念に見たが知っている者はいなかった。
最後まで見てから一度も札を上げることはなくウォルターが立ち上がった。
「デイジー。行こう。今日は欲しい奴隷はいなかった」
ルヴィエ語で言う。
オーロラはこくっと頷いた。
出入り口でウォルターはそこにいた使用人に肩をすくめて言った。
「もうちょっと若くて強そうな屈強な奴隷を探していたんだがね」
と、その横を他の貴族らしきものたちが通り過ぎていく。
「いやー、ハートリーの奥方はよい奴隷を手にいられれたようですぞ。医師のもとで下働きしていた者らしい」
え?
一瞬だったが、ハートリーという言葉にオーロラは驚いて顔をあげた。
「ああ、それはなかなか手に入らないものでして」
「そうかい。また来るよ」
「ご贔屓に頼みますよ」
驚いたオーロラをよそにウォルターは会話を終えている。
そのまま会場を出て、何度も道をぐるぐるしてからミシェルの事務所に戻ってほおっと一息つく。
「疲れたな」
ウォルターもかなり緊張していたのかソファにどさっと腰を下ろした。
「はい」
「知っている顔が何人もいたな」
ウォルターはこめかみを押さえている。
「驚くほどの高位貴族もいた。ちょっとショックだ」
ソードノーズ王国では奴隷の売買は禁止されているのに、法を作る側の人間が破っていてはどうあがいても統率がとれるわけはない。
「問題は元締めた誰かということだ。使用人は目に焼き付けたからどこかで見たらそこから足をつけられるのだがな」
「あの……」
オーロラが声を出した。
「わたしは知っている者がひとりおりました。札をわたしたちに渡してきた者を知っています」
「何?」
ウォルターがソファから腰を起こす。
オーロラは妹のエンジェルの話を説明した。
グッドフェロー家の内情を話さねばならないのではずかしいことだし、さらに父の愛人の侍女なので、もしかしたら公爵家にも調査の手が伸びる可能性がある。
だが、話さないという選択肢はないと思った。
「なるほど。その侍女があの会場にいたと」
「はい」
「よく話してくれた。ありがとう」
「いいえ、当たり前のことです。この国のために働いておられる殿下のためですから」
「父が関わっている可能性が百パーセントないとはいえません。ですが、おそらく父はほとんどあの家に顔を出していない可能性が高いと思います」
「へぇ。お前にまだ妹もいたのか」
ミシェルが口をはさむ。
「ええ。そうなの。来週お茶会でデビューするのよ。わたしが付き添わなければならないの」
「え?」
ウォルターが声を上げる。
「そんな話聞いていないぞ」
「え?私的なことですし」
「君は俺の婚約者ではなかったか?」
「そうですが」
「いつかな?そのお茶会は」
「ら、来週の火曜日ですが」
「よし俺も予定しておこう」
「は?」
「婚約者の外出に付き添うのは当たり前だ」
胸を張ってそういうウォルターを唖然として見るオーロラと声をあげて笑うミシェルの声が部屋に響いていた。
奴隷はひとりずつ檻に入れられた状態で前の舞台に上げられ、奴隷の特徴が述べ立てられていく。
「ひどいな」
「ええ」
奴隷たちは粗末な一枚もののワンピースを着せられておりだいたいがうなだれている。顔には生気がなくなされるがままになっていた。
ウォルターがずっと握り続けている手に思わず力を入れているのがわかる。
オーロラは主催者側の者の顔をひとりずつ入念に目に焼き付けていた。
もしかしたら知っている顔がいるかもしれない。
前世で会ったことがある者などいないだろうか?
入念に見たが知っている者はいなかった。
最後まで見てから一度も札を上げることはなくウォルターが立ち上がった。
「デイジー。行こう。今日は欲しい奴隷はいなかった」
ルヴィエ語で言う。
オーロラはこくっと頷いた。
出入り口でウォルターはそこにいた使用人に肩をすくめて言った。
「もうちょっと若くて強そうな屈強な奴隷を探していたんだがね」
と、その横を他の貴族らしきものたちが通り過ぎていく。
「いやー、ハートリーの奥方はよい奴隷を手にいられれたようですぞ。医師のもとで下働きしていた者らしい」
え?
一瞬だったが、ハートリーという言葉にオーロラは驚いて顔をあげた。
「ああ、それはなかなか手に入らないものでして」
「そうかい。また来るよ」
「ご贔屓に頼みますよ」
驚いたオーロラをよそにウォルターは会話を終えている。
そのまま会場を出て、何度も道をぐるぐるしてからミシェルの事務所に戻ってほおっと一息つく。
「疲れたな」
ウォルターもかなり緊張していたのかソファにどさっと腰を下ろした。
「はい」
「知っている顔が何人もいたな」
ウォルターはこめかみを押さえている。
「驚くほどの高位貴族もいた。ちょっとショックだ」
ソードノーズ王国では奴隷の売買は禁止されているのに、法を作る側の人間が破っていてはどうあがいても統率がとれるわけはない。
「問題は元締めた誰かということだ。使用人は目に焼き付けたからどこかで見たらそこから足をつけられるのだがな」
「あの……」
オーロラが声を出した。
「わたしは知っている者がひとりおりました。札をわたしたちに渡してきた者を知っています」
「何?」
ウォルターがソファから腰を起こす。
オーロラは妹のエンジェルの話を説明した。
グッドフェロー家の内情を話さねばならないのではずかしいことだし、さらに父の愛人の侍女なので、もしかしたら公爵家にも調査の手が伸びる可能性がある。
だが、話さないという選択肢はないと思った。
「なるほど。その侍女があの会場にいたと」
「はい」
「よく話してくれた。ありがとう」
「いいえ、当たり前のことです。この国のために働いておられる殿下のためですから」
「父が関わっている可能性が百パーセントないとはいえません。ですが、おそらく父はほとんどあの家に顔を出していない可能性が高いと思います」
「へぇ。お前にまだ妹もいたのか」
ミシェルが口をはさむ。
「ええ。そうなの。来週お茶会でデビューするのよ。わたしが付き添わなければならないの」
「え?」
ウォルターが声を上げる。
「そんな話聞いていないぞ」
「え?私的なことですし」
「君は俺の婚約者ではなかったか?」
「そうですが」
「いつかな?そのお茶会は」
「ら、来週の火曜日ですが」
「よし俺も予定しておこう」
「は?」
「婚約者の外出に付き添うのは当たり前だ」
胸を張ってそういうウォルターを唖然として見るオーロラと声をあげて笑うミシェルの声が部屋に響いていた。