黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい

10.オズワルド公爵家お茶会

「お姉様。今日は王太子殿下がいらっしゃるって本当ですか?」

「エンジェル。もう少し落ち着くのよ。レディはそんな大声で話さないものよ」

馬車の中ではしゃぎまくりのエンジェルだ。

ふたりともドレスを新調し、オーロラは緑、エンジェルは黄色のドレスだ。
エンジェルのかわいらしい顔に黄色のフリルが可憐でよく似合っている。
オーロラの方は落ち着きのあるドレスにした。
一歳しか違わないのに三歳くらいちがうように見えるだろう。
今日ウォルターがお茶会に顔を出すという噂をどこから聞きつけたのは父は朝から上機嫌だった。
義母はあれから懇意になった『ミルティ』のシフォンケーキを注文しておいてくれ今日のお土産に積んである。
家の中でエンジェルと口を聞くことはまずないが、それでもケーキを持たせてくれるあたり、なんとか認めようと努力しているに違いない。

エンジェルはいまいち何を考えているのかわからない。
とにかくよく話をしてくることは確かだ。
常にあまり話さないようにはしている。

「ごめんなさい。つい嬉しくて」

何が嬉しいのかわからない。
何とか今日を早く終えてしまいたくてオーロラはやきもきしていた。

会場に到着するとオズワルド家の令嬢が出迎えてくれる。ナタリー・オズワルドと言ってエンジェルと同じ年の十六歳である。
ユリア王妃の弟の娘、つまりグラントのいとこにあたる令嬢だ。
くるくるとした茶色い髪が特徴で、美人というわけではなかったが、しゅっとしており公女らしく威厳がある。
前世でも今世も特に付き合いがあったわけではないのであまり知らないが、いつも同じ取り巻きを引き連れて夜会に出ていたイメージがある。
この数年間の間に外国に嫁いだ記憶があった。

「オーロラ嬢、エンジェル嬢、ようこそいらっしゃいましたわ」

「こちら、どうぞ。ミルティのシフォンケーキです。お口にあいますかどうか」

「まぁ。あまり手に入らないというあのケーキですか?ぜひ皆様でいただきましょう」

会場入りすると、ずらっと令嬢たちが並んでいる。いつも夜会で取り巻いている者たちだ。おそらくオズワルド公爵家の分家や傘下の貴族たちの娘が大半だろう。

お茶会は最初のはじまりは女性のみと決まっている。そのあと各令嬢の婚約者などの男性が来ることがあるがそれはしばらく二時間ほどこの状態が続いてからとなる。
ウォルターもその頃やってくる予定である。
< 61 / 77 >

この作品をシェア

pagetop