黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい

11.婚約披露の宴

ソードノーズ王国は比較的温暖な海岸地方に位置しているが、真冬となるとさすがに寒い。
先日十八歳の誕生日を迎えたオーロラは誕生祝にとウォルターから送られた大ぶりのルビーの首飾りを胸につけ、濃紺のサテンのドレスに身を包んでいた。
もちろんそのときにデイジーの花ももらっている。
朝から王太子宮入りしたオーロラは入浴して数名の侍女たちから入念なマッサージとともに綺麗にされ、メイクアップに整髪、ドレスアップと大変な騒ぎだ。
こんなに時間をかけなくても一時間もあれば準備できるだろうにと思いながらも公爵家の公女として当然のことだと義母も言うので仕方なく受け入れている。
家族は夜になってから王宮入りする予定で、当然エンジェルも一緒だ。
あれから淑女の勉強をかなりがんばっているらしく、今日は社交界デビューの日でもあるのでシーヴァがエスコートすることになっている。

「オーロラ。待たせたね」

すべての準備が整い、すでに疲れ切ったと思いながら王太子の私室のリビングのソファに座っていたところ、ウォルターが入って来た。

すっと立ち上がるとウォルターが一瞬固まったように直立不動になる。

「ごきげんよう。ウォルター殿下」

丁寧に挨拶すると、はっとしたようにウォルターがにっこりと笑った。
その笑顔にオーロラはドキッとする。
同じ色調で合わせるといってウォルターが注文した正装。
濃紺の服にウォルターの金色の髪がキラキラ輝いてまぶしすぎる。

「ごめん。美しすぎて……。ああ……」

オーロラも固まっていたようでウォルターの言葉にはっとなった。
うつむいている。

何?どうされたの?

「ダメだ。俺。独占欲強すぎる男は嫌われる」

何やらぼそぼそとつぶやいているがオーロラには何を言っているのかわからない。

「殿下?どうされました?」

「いや、いいんだ。行こうか」

「はい」

準備は整った。





冬は社交シーズンだ。
各国で舞踏会が開かれる。
ソードノーズも同じで、各国からの来賓も顔をそろえていた。

王家は一番最後に会場入りするが、ウォルター王太子とその婚約者のオーロラ公女と紹介されて入場したときには一瞬会場が静まった。
ようやく結婚が正式発表されるのだ。

「皆の者。本日はご苦労である。本日、わが息子ウォルターがかねてから婚約していたグッドフェロー公爵家が長女、オーロラ公女と結婚する日取りが決まったので発表する。結婚式は四月八日とする」
わーっと一斉に歓声が起きた。

「ソードノーズ万歳!」

「王太子殿下万歳!」

それからダンスが始まる。
本日デビュタントの者もいるので、その者たちが中央でダンスする。エンジェルも同じでオーロラはシーヴァと難なくダンスをこなしているオーロラを見ながらウォルターとダンスをしていた。

「気になる?」

「ええ。粗相をしないか気になりますわ」

「でもそれなりに踊れているじゃないか」

「かなり頑張っていたようですし、それは褒めるしかありませんわ」

「そうだね」

そして踊りながら今度は横で踊るグラント王子を見る。ナタリーと踊っている。この人が奴隷オークションを……。ふたりとも柔和な笑みを浮かべているがあの顔の奥にとんでもない邪悪な心が潜んでいるのだ。

一方他の貴族たちは上座で踊っている王太子ともうすぐ妃殿下となるふたりに釘付けになっている。ふたりがあまりに目立つしオーラがあるし美しすぎるのだ。
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