黒魔術の使い手ですが何か?! 死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい
◇
「疲れたね」
「本当ですね」
夜会の後は遅くなるだろうということで最初から、今日は王宮に泊まることになっている。
もちろん部屋は別だ。
少しふたりで話そうと言われてウォルターの部屋でお茶を飲んでいる。
ウォルターは温かいお茶を勧めてくれたが、オーロラの頭はさっきのことでいっぱいだった。
ノエルがやってきた。
前世ではまだこの頃は能力を発動していなかったはず。
白の魔力、つまり癒しの力を発動しはじめたのは、ハートリー伯爵領があるパルリム王国との国境でパルリムの内乱の飛び火が来て、暴動が起き、大量の負傷者が出た時である。
その時突然能力に覚醒したノエルが次々と人々を治癒していったということで突然名をとどろかせたのだ。
それは今から二年と少し後の話。その頃はオーロラはすでにウォルターと結婚していた。
全然夫婦の交流のない白い結婚だったがそれでもウォルターを愛していた。
ウォルターと体を重ねたのはイヴァンを授かったとき、その時だけである。
あれは何だったのかと今でも赤面する。
たまたま体調がよかったのか、ウォルターがオーロラの部屋にやってきたのだ。
その頃にはすでにノエルがウォルターの治療をしはじめていたからかもしれない。
そしてその日は車いすから立ち上がり、怒ったようにオーロラを抱いた。
そのとき一回きりだった。
それでイヴァンが授かった。
イヴァン……。
今世では会えないであろう我が息子を思う。
ノエルが現れた。ということはもうすぐウォルターはオーロラの前からいなくなるだろう。
相変わらず、ピンクのサラサラの髪は美しく、目が覚めるようなその空色の瞳は可憐に輝いていた。
まわりの人々の注目もあんなに集めていたではないか。
もしかしたらもう覚醒して癒しの能力を発動させているかもしれない。
「オーロラ。飲まないの?」
「ええ。いただきます」
少し冷めたお茶を口に運んだ。
あまり味は感じなかった。
「疲れてるんだね。もう休むかい?」
「そうですね」
言葉が出なかった。
その日はそのまま部屋に戻らせてもらった。
クティを呼んでクティに埋もれた。
「オーロラ。そんなに悲しまないでよ」
「だって。もう終わるんだもの」
この幸せが。どこかに行ってしまう。
「そんなの、オーロラの思い込みだよ」
「そんなわけないじゃない」
あんなにノエルの瞳は今もウォルターを愛していると告げていた。
オーロラに挑む瞳を向けていた。
そこではっとなった。
え?
ノエルは今のオーロラを知っている?
そしてウォルターのことも。
初めましてと言っていたけれど、あの顔はオーロラを知っていると告げていた。
どうして?
どうしてそう思うのだろう。
「ねぇ。クティ。ノエルはすでにわたしを知っているような気がしたの」
「え?そうなの?」
クティの驚きが演技がかっている?
「知ってたの?」
「まぁそれは言えない。前も言ったけど精霊には制約があるんだ」
そうだった。
クティが精霊界から罰せられても困るしこれ以上聞けない。
「わかった。もう聞かないからもふもふさせて」
「だからくすぐったいって」
そういいながらもクティは朝までずっとオーロラの頭の下で眠ってくれた。
「オーロラ。もうすぐだよ。きっとうまくいくから」
クティがつぶやいていたころにはオーロラは夢の中にいた。
「疲れたね」
「本当ですね」
夜会の後は遅くなるだろうということで最初から、今日は王宮に泊まることになっている。
もちろん部屋は別だ。
少しふたりで話そうと言われてウォルターの部屋でお茶を飲んでいる。
ウォルターは温かいお茶を勧めてくれたが、オーロラの頭はさっきのことでいっぱいだった。
ノエルがやってきた。
前世ではまだこの頃は能力を発動していなかったはず。
白の魔力、つまり癒しの力を発動しはじめたのは、ハートリー伯爵領があるパルリム王国との国境でパルリムの内乱の飛び火が来て、暴動が起き、大量の負傷者が出た時である。
その時突然能力に覚醒したノエルが次々と人々を治癒していったということで突然名をとどろかせたのだ。
それは今から二年と少し後の話。その頃はオーロラはすでにウォルターと結婚していた。
全然夫婦の交流のない白い結婚だったがそれでもウォルターを愛していた。
ウォルターと体を重ねたのはイヴァンを授かったとき、その時だけである。
あれは何だったのかと今でも赤面する。
たまたま体調がよかったのか、ウォルターがオーロラの部屋にやってきたのだ。
その頃にはすでにノエルがウォルターの治療をしはじめていたからかもしれない。
そしてその日は車いすから立ち上がり、怒ったようにオーロラを抱いた。
そのとき一回きりだった。
それでイヴァンが授かった。
イヴァン……。
今世では会えないであろう我が息子を思う。
ノエルが現れた。ということはもうすぐウォルターはオーロラの前からいなくなるだろう。
相変わらず、ピンクのサラサラの髪は美しく、目が覚めるようなその空色の瞳は可憐に輝いていた。
まわりの人々の注目もあんなに集めていたではないか。
もしかしたらもう覚醒して癒しの能力を発動させているかもしれない。
「オーロラ。飲まないの?」
「ええ。いただきます」
少し冷めたお茶を口に運んだ。
あまり味は感じなかった。
「疲れてるんだね。もう休むかい?」
「そうですね」
言葉が出なかった。
その日はそのまま部屋に戻らせてもらった。
クティを呼んでクティに埋もれた。
「オーロラ。そんなに悲しまないでよ」
「だって。もう終わるんだもの」
この幸せが。どこかに行ってしまう。
「そんなの、オーロラの思い込みだよ」
「そんなわけないじゃない」
あんなにノエルの瞳は今もウォルターを愛していると告げていた。
オーロラに挑む瞳を向けていた。
そこではっとなった。
え?
ノエルは今のオーロラを知っている?
そしてウォルターのことも。
初めましてと言っていたけれど、あの顔はオーロラを知っていると告げていた。
どうして?
どうしてそう思うのだろう。
「ねぇ。クティ。ノエルはすでにわたしを知っているような気がしたの」
「え?そうなの?」
クティの驚きが演技がかっている?
「知ってたの?」
「まぁそれは言えない。前も言ったけど精霊には制約があるんだ」
そうだった。
クティが精霊界から罰せられても困るしこれ以上聞けない。
「わかった。もう聞かないからもふもふさせて」
「だからくすぐったいって」
そういいながらもクティは朝までずっとオーロラの頭の下で眠ってくれた。
「オーロラ。もうすぐだよ。きっとうまくいくから」
クティがつぶやいていたころにはオーロラは夢の中にいた。