黒魔術の使い手ですが何か?! 〜死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい

14.正体

それからもしばらくオーロラは国境の町に滞在することにした。
まだ血水症菌がすべて駆除できたか怪しい段階だからだ。

ウォルターは国境の関所の兵士を増兵し、高い壁を作ることにしたと忙しくしている。

「ここにずっといるわけにはいかない。王都がほったらかしになるからね」

「そうですね」

それから数日後のことだ。
ウォルターは朝から関所へと出かけており、さらに雨が降ってきて夜遅くになっても帰らない中、心配でずっと起きていた。
ウォルターのテントでクティと戯れていたその時だ。
入り口のところでガタガタと音がした。

誰だろう?

「スコット?」

護衛騎士を呼ぶも返事がない。

どうしたのかしら?

そう思って立ち上がったのだが……。

見知らぬ男が侵入してきたではないか。

兵士?いや違う。
兵士の中にはこんな恐ろしい顔をした者はいない。

その男は屈強で言ってみればゴリラのように大きく、怒りに震えた般若のような目を向けオーロラの方へとゆっくり歩いてきた。

そして何よりもこの男に見覚えがあった。

あの時奴隷オークションでオークションに出されていた奴隷だ。
ひとりだけ恐ろしく大きな体をしていたので覚えている。

「何なの?」

「お前が闇魔術師か」

恐ろしく恨みのあるような話し方だ。

操られているかのような話し方。ノエルだろうか?
あの鴉の大群を思い出す。
あれもノエルが操っていたとしたら……。

そしてはっとした。
前世のエンジェルと同じ目をしている。

あの時のエンジェルもこの目だった。
もしかしてエンジェルはノエルに操られていたの?

「闇ではないわ。黒よ」

男は怖いが、これが何なのか解明する必要がある。
オーロラは男とできるだけ話そうと思った。

「嘘をつけ!お前が闇魔術で母と妹を殺しただろう!」

何を言ってるの?

これは……。
< 85 / 95 >

この作品をシェア

pagetop