黒魔術の使い手ですが何か?! 〜死に戻り王太子妃は今世ではもふもふ精霊と一緒に楽しく暮らしたい
「そんなことわかっているよ。何度も言うが俺には婚約者がいるんだからな」

そんなウォルターにいつまでもまとわりついているのはルミエール王女だ。

「ねぇ。ウォルター。明日行きたいところがあるの」

「何をいってる。ルミ。もう帰るんだ」

「えー」

エリオットの言葉に抗議してほっぺをふくらませている。
だが、この王女もオーロラを擁護してくれたのだ。

「ルミエール王女殿下。ありがとうございます」

オーロラが頭を下げると、ルミエールはぷいっと横を向いた。

「曲がったことが嫌いなだけよ。勘違いしないで」

「それでもきちんとお礼を言わせてください」

オーロラが言うと、ルミエールはしぶしぶといった体で手を差し出した。

「ウォルターをよろしくね」

「はい」

オーロラはにっこり笑って手をとった。

披露宴もつつがなく終わった。



王太子宮に戻ったのは夜も更けており、使用人に入浴を頼むのもはばかられ、どうしようかと思っていると、ウォルターが部屋に寄っていくよう言った。

「オーロラ」

エスコートされるがまま、ソファに腰かける。

「俺を愛してる?」

「はい。愛しています。そして殿下に言っておかねばならないことがございます」

「え?」

オーロラはすべて打ち明けるつもりだった。
今世で夫婦になる前に、きちんとすべてを。

オーロラのまじめな表情を見てウォルターは頷いた。

「わかった。ベッドに入る前にどうしても聞かなきゃならない話みたいだね」

「はい。聞いてください」

オーロラはすべて話した。
前世でウォルターが毒に犯され続けていたこと。
そして今と同じように結婚したこと。
その時から自分はずっとウォルターを愛していること。
前世で黒魔術を発動してからの世間の冷たさ。
ノエルの登場。
そしてノエルとウォルターが愛し合っていると思っていたこと。
イヴァンの出産。
自分の死。
すべて。

気づけば朝になっていた。
けれど、ウォルターは真剣に聞いてくれた。

「信じていただけますか?」

「ああ。信じる。オーロラが回帰したのはもしかしたら何か魔術の影響かもしれない」

「そんな大それたことをできる魔術があるのですか?」

「わからないけれど、でもきっとあると思う。だから信じる。そしてそんな俺をずっと愛してくれていたオーロラが俺は嬉しい」

なぜ回帰したかは今もまだわからない。
魔術かもしれないし、もしかしたら神の意図なのかも……。
だけど、これからもオーロラは人を助けてこの人と共に生きていきたい。
そう思った。
そしてその中にひとつまたやりたいことが増えた。
ソードノーズを良き国に建て直すこと。ウォルターと共にだ。

ウォルターがオーロラの手を取った。

「前世からずっと俺を愛してくれたこと。そして今世でも俺の命を救ってくれたこと。愛してくれたことすべてに感謝する。オーロラ」

手の甲を口に当てる。

「愛している」

「ウォルター殿下。わたしもです」

もう何も迷いはなかった。
これで迷いなくウォルターの胸に飛び込める。

もう空は白んでいたが、そのままふたりは寝室にこもり、次の日の夕方まででてくることはなかったという。

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