【改稿版】記憶を失くした御曹司と偽りの妻
第7話
手術が終わったのは、日が傾きかけた頃だった。
ラウンジの時計を何度見たかわからないころ、ようやくオペ室のランプが消えた。
立ち上がった拍子に、冷めきったコーヒーが膝に少しこぼれる。
先に出てきた麻酔科の先生が、ご家族へ小さく頷いた。
そのあと、術帽を外した怜央が現れる。
長い手術の直後なのに、背筋はまっすぐだった。
でも、目の下には薄く疲れが落ちている。
「手術は予定どおり終わりました」
低く、よく通る声。
危険だった場面も、これから気をつけることも、怜央は一つずつ隠さずに説明した。
大丈夫です、と安い慰めは言わない。
その代わり、今ここまで来た事実を、家族が自分の足で受け止められる言葉にして渡していく。
男の子のお母さんが泣きながら頭を下げると、怜央は少しだけ目元をやわらげた。
「礼は、元気になってから本人に伝えてください」
その言葉まで、いかにも怜央らしい。
ラウンジの時計を何度見たかわからないころ、ようやくオペ室のランプが消えた。
立ち上がった拍子に、冷めきったコーヒーが膝に少しこぼれる。
先に出てきた麻酔科の先生が、ご家族へ小さく頷いた。
そのあと、術帽を外した怜央が現れる。
長い手術の直後なのに、背筋はまっすぐだった。
でも、目の下には薄く疲れが落ちている。
「手術は予定どおり終わりました」
低く、よく通る声。
危険だった場面も、これから気をつけることも、怜央は一つずつ隠さずに説明した。
大丈夫です、と安い慰めは言わない。
その代わり、今ここまで来た事実を、家族が自分の足で受け止められる言葉にして渡していく。
男の子のお母さんが泣きながら頭を下げると、怜央は少しだけ目元をやわらげた。
「礼は、元気になってから本人に伝えてください」
その言葉まで、いかにも怜央らしい。