秘書の誕生日、一夜のはずが社長に溺愛されています

第1章 届かない恋と絶望

「今日のスケジュールです」

私はタブレットを差し出しながら、デスク越しに社長――久遠司を見た。

完璧、という言葉が一番似合う人だと思う。

隙のないスーツ、無駄のない動き、冷静な視線。

どこを切り取っても、非の打ち所がない。

「午前は役員会議、その後は――」

「愛果さん」

淡々と読み上げていた言葉が止まる。

「はい?」

「朝食は取ったか?」

一瞬、何を聞かれているのか分からなかった。

「……え?」

「顔色が悪い」

社長は書類から目も離さずに言う。

「いえ、大丈夫です。いつも通りですので」

「嘘だな」

即答だった。

思わず言葉に詰まる。

「コンビニでもいい。何か食べてこい」

「ですが、会議の準備が――」

「五分で戻れるだろう」
< 1 / 60 >

この作品をシェア

pagetop