闇深兄の溺愛 〜甘いデザートには、一滴の毒を〜
***





「いらっしゃいませ、佐伯様。お待ちしておりました」





数時間後。




銀座の裏通りにある、
看板のない会員制のブティック。





私たち以外他に誰もいないそこで私は、
彼によって磨き上げられていた。






颯が選んだ深いネイビーのドレス。






私が試着室から出ると、
彼は満足そうに目を細めた。






「……綺麗だ。誰にも見せたくないくらいに」


「そ、そうかな……」






颯は私の足元に膝をつくと、
今日のために用意したという



繊細なクリスタルが散りばめられた
ヒールを、私の足に丁寧に履かせた。






「シンデレラみたいだね」






私の言葉に、ふっと颯が笑う。






「いいや。シンデレラは午前零時に魔法が解けるけれど、俺の魔法は一生解けないよ。……お前をこの靴で、どこへも行けないように縛っておきたいくらいだ」


「変なこと言わないでよ、もう」






けれど冗談めかした彼の声は、
熱っぽく、そしてどこか確信に満ちていた。



***




聖夜の喧騒に包まれた街。


東京の夜景を一望できる、ホテルの最上階。






そこは、完全に隔離された
二人きりのプライベートルームだった。






「メリークリスマス、美桜。……俺の隣にいてくれて、ありがとう」






シャンパングラスが触れ合い、

カラン、と上品な高い音が室内に響く。






運ばれてくる料理は、
私の苦手な食材が排除され、



完全に好きなものだけで構成された
「私専用」のコース。






味付けも、温度も、

すべてが私の理想通りだった。






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