この家、全員まともじゃない。①

『 三男の澪……くん 』

「まだかな〜」


遅いな。もう20分くらい経ったんだけどな。


ちょっとだけ出てもいいかな……?


そう思って、ドアの方へ行き、意を決して───、


ドアを開く。




視界に、ブラックブルーのセンター分け。




綺麗な二重に、中性的な顔立ち。



陶器のように白い肌、高い鼻、長い睫毛。



何よりもインパクトになるのは、深い紫色の瞳。



あまりにも整った見覚えのある顔。



……ブラックブルーの、髪の子。



「……もしかして、あんたが琴音?」


なぜ私の名前をご存知で……?


「う、うん、そうだけど……。あ、えと……」


いや、気まず……


「……。」


「……。」


お互いスッと目を逸らす。


昨日のあの床ドン……。


まだ鮮明に記憶に残っている。


ちょっと恥ずいかも……。


「……じゃあ澪は行くね。」


……ん?


澪ってあの三男……?


「えっ……君、青雲家の三男なんですか?」


つい衝動的に聞いてしまった。


「うん……。そうだけど、それが?」


当然の事だというように少し崩れた髪を掻きあげる。


……うわぁ〜。


その仕草さえも絵になる程の美貌。


眩しっ……。


思わず目を逸らしてしまう。


それを見た三男は、拒絶と受け取ったのか───。


「……ごめん。この前の事も、今の事も。」


「えっ、大丈夫……。ほら、少し気まずいなぁ〜って思っただけだから。」


慌てて否定する。


意外と自己肯定感が低いのかもしれない。


母性反応と庇護欲がそそられて、なんだか不思議と笑みが溢れた。


三男はそれを見て口角を微かに上げ、ふっと微笑んだ。


笑い方、綺麗だな……。


決して恋愛感情に発展することはないだろうけど。


まあかっこいいっていう憧れの気持ち……みたいな。


「……それで、聞きたいことがあるんだけど。」


「……?なんですか?」


なんだろ……?なんか昨日と今日合わせて2日しか話したことがないから、分かんないな……。


「……藍とはどこまでヤったんですか。」


「……ん?」


や、ヤったって……、は?


なんか勘違いしてるんじゃない?


「えっ、なんもやってませんよ……?」


「……キスまでイったくせに。」


え……、意外と皮肉屋なのかな?


「ま、まあ……大丈夫だし……。」


大丈夫とか……何が大丈夫なんだろ、って自分で思う。


「……俺にしとけばいいのに。」


あれっ……。


一人称、俺なんだ……。


意外な一面見れて嬉しいかもっ……!


「大丈夫大丈夫!澪くんにはきっと良い人出会えるよ!」


「……もう出会ってるんだけど。」


「へー、誰々っ?」


「……。澪くんじゃなくて、澪って呼んで。」


「う、うんっ……!澪っ」


距離、縮められたかもって……


ふふっと笑う。


やば……。これから上手くやっていけそうっ!


「……じゃあ俺、もう行くんで。」


「じゃあね〜」


手を振って、満面の笑みで見送る。


────澪の顔が、ほんの少し桃色に染まっていたことも知らずに。


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