おれが、おまえを、可愛くしてやる。

◇#16. 別離

 言い訳のしようがなかった。

「ごめんね」とあなたは謝る。「……驚かせようと思って来たんだ……そしたら聞こえちゃって……」

 ――うん。あなたに悪気がないのはよく分かっているよ。あなたはそういうひとだから。

「きみの気持ちは分かった。……勝手に行動したおれが悪かったよね。ごめん。……答えが出ない、ってことが答えで、いいのかな……」

 ――あなたは、なにも、悪くないのに。わたしが、こんなだから……。

 あなたを、こんなにも、苦しませている。

「ごめん、なさい……わたし……」

「謝らなくていい」とわたしに近づく蓮二は、目を細め、「きみと過ごした時間は宝物だ。……素敵な時間を、ありがとう……」

 ――本当に好きなんだったら、そんなふうに、言わないよね。引き留める、よね……。つまり。あなたにとって、わたしは、『その程度』のひとだったってこと。

「じゃあ。ぼくは、今日からソファーで寝るから。……きみは寝室で休むようにね。……あと。ドライヤーも使いなさい」

「そんな」とわたしは、「悪いです……ただの居候なのに……」
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