おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 すると。蓮二は、てっきりわたしを寝室のベッドに寝かせると思いきや。ドレッサーの前に座らせた。鏡のなかの自分は……もう、愛を知らない女ではなかった。潤沢なる愛を与えられた女の顔がそこにはあった。今朝は蓮二のメイク道具を借りて薄くメイクをしただけなのに……美しい、とこのとき、わたしは、そんなことを想っていた。

「綺麗だね望海」ちゅ、と身を屈め、わたしの前髪にキスを落とすと蓮二は、「疲れてるだろうからぱぱっと行くよ。メイク落としとオールインワンジェルだけ塗っておこう」

 ふ、と笑みがこぼれた。どんなときも美意識を絶やさない蓮二らしいな。クレンジングウォーターを含ませたコットンで丁寧に顔を拭かれていく。エステを受けているみたいで気持ちがいい。……そっか、クレンジングウォーターって使ったことがなかったけど、こういうとき、便利なんだな……。
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