おれが、おまえを、可愛くしてやる。
「……あたしたちが結婚して、子どもが生まれたら、……どんな世の中になってるんだろうね……」と珍しくも感傷的な麗奈。「生まれたときからスマホがあって。V-tubeもプイッターもアンスタも最初から整ってるって状況……。せめて、匿名の、罵詈雑言とかなくなってるといいんだけどね……最近の皇室バッシングも異常じゃない」

「あそこまで来ると叩く方がどうかと思うよね」……この手の話題は気を遣う必要があるので声を落とす。「叩いてることで悦に入ってるって感じで。気持ちが悪いよ。……静観はしても、加害者にはなりたくないよね」

「だね。……食後のコーヒー、頼もうっか」

「うん」

 うららかな日差しを感じる初秋の真っ昼間。これ以上幸せなことなどなにもないと思えていたはずの日常――に、迫りくる深い闇にこのときのわたしはまだ、気づいていなかった。

 * * *

「ケイ・キタハラって知ってる?」
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