おれが、おまえを、可愛くしてやる。
「勿論」帰宅後、蓮二の作ってくれた美味しいバターチキンカレーを食べながらの会話。「『シンシアリー』の創業者だよね。色々と手がけてるかたでしょう? 日本人としてパリコレに進出して、手がけるのはオートクチュールだけじゃなくて、一般的なアパレルの服とか……わたし、あそこの服、大好きだよ? 『Sweet Lip』とか。今日もスイリプの服着てる」

 一拍置くと、蓮二は、

「そのデザイナーが、うちの兄貴なんだ」

 天地がひっくり返るくらいにびっくりした。……ってえええ?? 「でも、名前……」

「うちの親、離婚してるから姓が違うの。本名は、北原幸一。兄貴はペンネームを使ってるんだよ。本名だとなにかと面倒だし」

「ああ……」離婚については言及すべきではない。「確かに、星野源や、尾田栄一郎とか、本名で活動しないって選択肢がなかったから本名でやってるけどやっぱ、不便なことあるみたいね。病院で名前呼ばれると一斉にみんなの目線が集まる、とか……」
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