おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 何故かおれの顔を見て顔を赤くした店員さんにいつも通り礼を言い、スーパーを後にする。……部屋に誰かが待ってるっていいもんだな。足が弾むのを感じる。――あいつ。おれの作ったレバニラ……食べてくれるだろうか。味はうるさいほうだろうか? 職場が一緒であっても一緒にランチをする間柄ではないのであいつの好みがよく分からない。――椎名は。

「勿体ない……つうか、自分の魅力をフルで活かしゃあ、本気で落とせるのに。なんか勿体ねえなぁ」

 ――まあ、所詮、同じ職場に勤める一介の上司であるおれがどうこう言う問題じゃねえんだけどよ。

 スーパーに寄っただけで帰ってきてしまった。ドラストでトイレットペーパーを買っておきたかったがなんとなく。早く帰らなければと思ったのだ。玄関先で、鍵がかかっていて――あいつのパンプスがあるのを見てこころからほっとした。……ってなんでおれ……あいつがいると『嬉しい』って思うの? おかしいだろ。

 とりあえず「ただいまー」とだけ言って手洗いうがいをし、スーパーで買った食材を冷蔵庫に仕舞っていく。それから寝室に行くと――おまえは……。

「寝てんのかよ」
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