おれが、おまえを、可愛くしてやる。

◇#27. 分からない

 朝から天気がよかった。真冬が迫るその日、街にはクリスマスを意識したイルミネーションが目立った。

 蓮二と手を繋いで歩いて……タクシーに乗って、会場へと向かった。場所は、銀座。路面店『Tender』の入った自社ビルを貸し切って行われるとのことだった。二階ではオートクチュールコレクションが展示される。わくわくする。ファッションに疎かったわたしでさえも、『ケイ・キタハラ』の名は知っていたから。

 パーティーはてっきり夕方から行われるものだと思ってはいたが。お昼をすこし過ぎた頃に開始した。会場に入ると入り口で荷物や上着を預け……奥に行き、今回のパーティーの主催者である北原幸一さんに挨拶をする。蓮二とはまた違う、独特の雰囲気をまとった青年だった。蓮二のお兄さんというからには現在三十五歳を過ぎているはず。とてもそうは見えなかった。二十代の王子様って感じ。銀白のスーツが似合いで、ショートカットだが髪が全体にやや長めで……美しい。

「椎名望海と言います」とわたしはお辞儀をした。プリンセスみたいに、グリーンのドレスの裾を掴んで。「初めまして。蓮二さんと、真剣にお付き合いをさせて頂いております」
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