おれが、おまえを、可愛くしてやる。
「いいえ」とわたしは首を振った。「それだけ、……蓮二が琉実さんを助けなければならない事情があったのでしょうから。詳しくは彼、語りませんでしたが……わたしは、彼を、愛しています。信じています」

「ああ……望海ちゃん……」あふれ出る涙をそのままに琉実さんはわたしを見つめ返す。「ごめんなさい……あのとき、わたし、精神状態がぼろぼろで。しかも、あの日は幸一の、デザイナーとしての二十周年パーティーだったから。明け方も続くことが決まっていたから。わたし、……水を差したくなかったの。

 正直に言うわね。望海ちゃん。わたし、……あなたたちに嫉妬していた」

「嫉妬。ですか? どうして……」意外に思ってわたしが尋ねると、妬ましかった、と、琉実さんは本心を認めた。

「わたしと幸一は、結婚しているとはいっても、……互いに別の場所にいる時間が長いから。遠距離恋愛をしているようなものよ。幸一は一年の三分の一をパリで過ごす。わたしは、韓国と日本を行き来する気忙しい日々を過ごしている。それだけで、……それだけでも幸せだったはずなのに……。

 あなたたちが結ばれたと知って。……冷静ではいられなかったの。
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