おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 そうして、冷たくなってきた風を感じながら、あたたかい気持ちでお弁当を食べる。このひとときが、……幸せ。

 自分一人じゃ、生きていけない。誰かの力を頼りに誰しも、……生きているのかもしれない。そんな実感を伴う午後のランチだった。

 * * *

 翌日、会社の入っているビルを出ると、人影を見つけた。彼女はわたしの姿を認めるとぺこりと頭を下げた。

「……琉実、さん……」

「望海さん。ごめんなさい。……すこしお時間取れるかしら」

「あはい。勿論です」蓮二はこのことを知っているのかな、と思う。「どこか、……近くのカフェにでも入りましょうか」

「ううん。外がいい。……缶コーヒーでも買いましょうか」

「分かりました」

 そうして、自動販売機でコーヒーを買い、昨日、麗奈と喋った公園へと移る。……琉実さん、痩せたな、という印象。元々細いかただったのが、線が細いというか。……辛いことがあったんだろうか。

 ベンチに並んで座ると琉実さんはわたしに向き直り頭を下げた。「ごめんなさい……あなたたちに迷惑をかけてしまって。嫌な気持ちになったでしょう」
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