おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 ぱしっ、とおれはおまえに触れた手を叩いた。「……なにやってんだおれ」やってること完全セクハラだぞ。いかんいかん……と思っていたら、うーん、と、おまえは声を出し、もぞもぞとからだを動かす。やわらかな掛け布団の下で動いているおまえのからだを想像するだけで気が変になりそうだった。……まずい。ひょっとして、おれ……。

 おまえに、本格的に、恋を――している?
 
 嘘だろおれ。そんな簡単な男じゃねえぞ。部下を部屋に泊めたくらいで惚れるとか……まじ……。

「あっ……ごめんなさい浅葱さん……っ」と言って起き上がるときちんとベッドのうえで正座をするおまえ。「また寝落ちしちゃいました。昨日のことといい……も、申し訳ありませんでしたっ!! すごく、……ご迷惑をおかけして……」

「終わったことだ。気にするな」と言って屈んで目の高さを合わせるくらいにはおまえのことを愛している。「もう、……14時なのだが。迷惑ついでに、おれのほうから、頼みごとをしても構わんか?」

「え、あ、はい……なんなりと」

 寝起きでぬぼーっとしたおまえの目を見つめながらおれは言い放った。
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