おれが、おまえを、可愛くしてやる。
 こんな、夢のような現実が起こりうるだなんて思ってもみなかった。究極の幸せは、案外、近い所にあるものだ。……そう、当たり前に存在するものが実は尊くて……。

 食事をして、後片付けをしていると、また、変な感じ。このときにわたしはもう、確信していた。わたし……。

 * * *

「ただいま蓮二」

「おかえり望海。お仕事お疲れ様」

「ケーキ。買って来たよ。……けど、二個にしといた。ふたりだけじゃ、食べきれないでしょう?」

「ふーん珍しいな」と蓮二がケーキ入りの箱を受け取る。「例年、望海は、ホールケーキをぺろっと食べるのに。……寒かったでしょ。さ、入って……」

「その前に蓮二」

「うん」

 わたしは、あなたに向き直った。あなたの目は相変わらず――宝石のように美しくて。輝きに満ちている。

 わたしに、美学を教え込んだのは、あなた。わたしに、本当の愛を教えたのも――あなた。あなたに出会えたおかげでわたし、……自分に自信が持てた。本当の美しさがなんなのかに、気づけた。美は、表面上だけじゃない。内面から、自然と湧いてくるものなのだ。大切な誰かを思いやり、……大切な誰かを愛することで。
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