`未完の恋、指先で溶かして
自分の頭の中
«Side Sakuma»


 自分でも、あまりに早まったと思った。

 真広が寝室へ消えた後、静まり返ったリビングで重い溜息を零し、一人で反省を繰り返す。

 お互いに忘れられたら…、そんな身勝手な押し付けをして、相手も同じ考えかなんて確認もしなかった。

 あの時の真広はむしろ、忘れることを拒み、それに怯えていたように見える。

俺の頭の中にだって、いまだに森山の存在がこびりついたまま。

 それでも、最低かもしれないが、目の前の真広を見て可愛いと思ってしまった感情に嘘はなかった。

 キスした瞬間の、あの真っ赤に染まった顔。どうしようもなく惹かれてしまった。


「男子高校生かって…」


 馬鹿みたいに理性を飛ばして、あやうくそのまま襲い掛かるなんて、最低だ。

 己の浅はかさに、自己嫌悪が込み上げてくる。

 相手の気持ちを置き去りにして押し切ろうとするなんて。

 あそこで踏み止まれなかったら、俺と真広の関係は間違いなく崩壊していたと思う。

 もう、二度と間違えないようにしないと。

 そう心に決め、ソファに身を横たえる。

 視線を寝室のドアへと向け、真広の事を思った。

 ちゃんと眠れているだろうか。
 明日はどんな顔をして接すればいいのか。

 柄にもなくそんなことを案じているうちに、ゆっくりと瞼の裏が重くなり、俺は深い眠りへと落ちていった。
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