未完の恋、指先で溶かして
「せっかく朝ごはん作ろうと思ったのに…。これじゃ、何もないね。いつも外食?」

「朝は食わないな。昼はUbereatsとかで頼みがち」

「ええ、お腹減らないの」

「真広が一緒に食ってくれるなら、どっか行く?」


 不意にそう問いかけると、真広は少し驚いたように瞬きをした。
 それから、困ったように、けれど嬉しそうに小さく笑って頷いた。

 誰かと連れ立って朝食を食べに行くなんて、一体いつ振りか。
 記憶を辿るのさえ億劫になるほど、遠い昔のことのように思える。


「じゃあ、用意してくる」


 軽やかな足取りで寝室へと戻っていく真広の背中を、俺は見送った。

 彼女と過ごす時間は、思っていたよりもずっと心地がいい。

 もう少しだけ、この穏やかな時間を、彼女と過ごしていたい。
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