俺も一人の男だよ――完璧夫の理性が崩れた夜、溺愛が始まる

第1章 完璧な夫と、満たされない私

「んん……」

朝、まどろみの中目を覚ますと、夫の姿はなかった。

(また先を越された)

まだ眠い目を擦ってベッドから抜け出る。

寝室を出ると、廊下までお味噌汁のいい匂いがしてきた。

キッチンに入ると、夫の伊織がお味噌汁をよそっていた。

「おはよう、優奈」

「おはよう……伊織君……」

夫は既にワイシャツに着替えていて、エプロンをしている。

御曹司だと言うのに、自分で起業して会社を経営している。

イケメンで優しくて、結婚して10年になるけれど、怒った顔を一度も見たことがない。

「ほら、ご飯も炊けてるよ」

ご飯とお味噌汁と、玉子焼き。

いつもの定番の朝ごはんだ。

「いつもありがとう。助かるわ」

「なに、優奈は遅くまで仕事してるんだから。これくらい当然だよ」

そう言って夫は、笑顔を見せた。
< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop