再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「……俺だけじゃないよ。多分、セイロンたちもみんなそう思ってる。ここには、俺みたいにセーラのことが大切で仕方ないっていう人がたくさんいるよ。セーラのことを悩ませたかったわけじゃないし、縛りつけたいわけでもない。だから、セーラが決めていい。……ただ、できるなら俺はこれからもずっとセーラと一緒にいたい。この国に、そのままのセーラとして残ってほしい。セーラの存在が、それくらい俺にとっては大切だから」


 その言葉が、どれだけ私の胸を打つか、気付いているのだろうか。

 嬉しい、幸せ、だけど少し恥ずかしい。

 胸がドキドキと高鳴り、寂しい気持ちやどこか穴が空いたような虚しさが少しずつ満たされていくみたい。


 ……こんな人とずっと一緒にいられたら、どれだけ幸せなんだろう。


「私。日本にロード様みたいな人がいたら、すぐにでも帰るって言ってただろうなあ」

「え……?」

「ふふ、こっちの話です」


 驚いて耳まで赤くするロード様。怒りそうだから本人には言えないけれど、そんな姿が可愛いと思ってしまう。


「……でも、そうですね。まだ時間もあるし、帰りを急ぐ必要なんてないんですよね。少し残って考えてみるのもいいのかも」


 呟くと、ロード様は表情を明るくして


「……うん。そうしてくれると、俺は嬉しい。すごく嬉しい」


 そう言ってくれて安心した。


「よし、セーラ」

「え?」

「久しぶりに、王都の街に行かないか? と言っても、俺と一緒に行くのは初めてだけど」

「街に?」


 頷くロード様は、


「セーラの体力のこともあるから、馬車での移動でほとんど街歩きはできないけどな。実は魔獣騒ぎの後、新しく甘いものの店ができて今大人気らしいんだ。セーラ、甘いもの好きだろ?」


 そう提案してくれる。


「私が甘いもの好きって、どうして知って……」

「セーラの好きなもの、俺が知らないわけないだろ?」


 私が甘いもの好きって、ロード様に言ったことないのに。誰かに聞いたのかな。それをちゃんと覚えてくれているんだ。


「ついでに買い物もしよう。新しいアクセサリーはどうだ? セーラは物欲が無いからな。本当はもっとプレゼントしたいのに困るくらいなんだ」


 それが前と同じ気分転換のお誘いなのがわかって。その優しさに胸が高鳴る。


「私はこのネックレスがお気に入りなので十分ですよ」

「ダメだ。それだけじゃ俺が満足できない」

「どうしてロード様が満足しなきゃいけないんですか」

「……そういうところが心配だからだよ」


 頭にポンと乗せられた手。言っている意味はよくわからないけれど、私のことを大切に想ってくれているのは伝わる。


「……わかりました。一緒に行きましょう」

「じゃあ決まりだな」


 こうして、ロード様と街へ行くことが決まった。
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