再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「え。じゃあニホンでは、こんなにプレゼントを贈らないのか?」

「はい。恋人同士でもこんなにたくさんのものは贈りません。記念日や何かのイベントの時にお互い一つずつ贈り合うのが一般的だと思います」


 誕生日やクリスマス、恋人同士や夫婦なら記念日。それくらいだろう。


「ドラムトンでは男性が女性に日常的にプレゼントを贈るのは当たり前のことなんだ。日頃の感謝や、気持ちを伝えたい時には特に」

「そうなんですね。私は慣れていないのでびっくりしちゃって」

「そうだな。慣れるまで今度からは控えめにするよ」


 当たり前のように次があるように言われて、危うく喉に詰まらせそうになって咳き込む。


「大丈夫か?」

「すみませ……んんっ、大丈夫です」


 紅茶を飲み、咳払いして落ち着けるとハンカチで口元を拭く。

 しかし顔を上げると


「ははっ、クリームついてる」


 とロード様が私の口の横を撫でてそのままぺろりと舐めるから、ポン!と沸騰しそうなほどに顔に熱が集まった。

 たまらず両手で顔を覆いながら下を向く私に、ロード様は笑いながら


「ごめんこめん。可愛くてつい」


 さらに追い打ちをかけてくるからずるい。


「ロード様……ずるいです」

「ははっ、俺からすればセーラの方がずるいから、お互い様だろ」


 どこが!と叫びたくなるのを堪えて、顔を手で仰ぎながらスイーツを食べ進める。


「そうだ。ロード様、一つお願いがあるんですけど」

「ん?」

「実は、セイロン様にずっとお礼をしたいと思っていたけどできていなくて。何か選びたいんですけど、一緒に考えていただけますか?」

「……」


 ピキ、と何かが固まったような気がして首を傾げる。その数秒後にロード様が頭を抱え始めたから、わけがわからない。


「ロード様にアミュレットを贈った時、本当はセイロン様にもお礼をしたいと思って探したんです。だけど、何がいいかわからないし本人の前で探すのもと思ったら決められなくて。すぐに瘴気問題も起こってしまったのでそのままずるずるときてしまって」


 経緯を説明すると、ロード様は


「ほんっとセーラは……あぁ、これが振り回されるってことか……」


 なんて言いながらも頷いてくれて。


「わかった。あいつも最近カイエンのことで落ち込んでるし、元気を出してもらうのにちょうどいいかもしれないな。一緒に選びに行こう」

「ありがとうございます!」

「でも、金は俺が出すから」

「それじゃお礼の意味が」


 私だって今回の瘴気問題で褒美をいただいたから、お金ならある。セイロン様へのお礼なんだから、これも私が払いたい。

 だけど。


「だめ」

「……っ」

「俺が、出すから。な?」


 有無を言わさない圧に負け、とりあえず頷く。

 すると満足そうに笑った。
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