再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「長さを変えられるようにしたのは、騎士様として戦う際の邪魔にならないのがどちらかがわからなかったので、そうしています。……あ、もしそもそもら気に入らなかったら全然捨ててくれても!」


 焦ってそんなことを口走る私に、ロード様は


「大丈夫。ちゃんと気に入ってる。捨てたりなんか絶対しないから、安心して」


 私の心を落ち着かせるように、優しく微笑む。

 だけどその笑顔がなんだかとても甘く感じて。その瞳の奥に強い熱を帯びているように見えて、むしろ全然落ち着かずに胸の高鳴りはどんどん強くなる。


「セーラ」

「は、はい」

「これ、セーラがつけてくれないかな」

「え!?」

「お守りなんだろう? 俺は、セーラにつけてもらいたい」


 そう言われて、アミュレットを差し出される。私戸惑いながらもそれを受け取り、ロード様の後ろに立つ。

 普段、騎士であるロード様の背後に回ることなんてあり得ない。そもそも頭ひとつ分私より背が高いロード様を後ろ姿とは言え見下ろしているような気分になり、なんともドキドキしてしまう。

 痛みなど全く無いサラサラの金髪。隊服の上からでもわかる、がっしりとした鍛え抜かれた身体。太い首筋。その首にアミュレットを回すと、ロード様の肩が一瞬揺れたような気がした。


「……きつくないですか」

「……あぁ。問題ない」

「……お仕事の邪魔になったりはしなさそうですか」

「むしろこのお守りのおかげで今なら一人で魔獣を倒しきれそうだ」


 ロード様がそんな冗談まで言うなんて。それほど喜んでくれているということだろうか。


「ロード様、少しこのままでいてもらってもいいですか」

「え?」


 断りを入れてから、目を瞑る。


「……ロード様が、怪我なく無事に任務を遂行できますように。私の代わりに、ロード様をお守りください」


 ロード様の首に下がったアミュレットに最後にそう願いをかければ、淡い光の中でアミュレットが輝きを増す。


「……ありがとうセーラ。本当に嬉しいよ。一生大切にする」

「そんな、一生だなんて」

「俺は本気だよ。それくらい嬉しいんだ」

「喜んでいただけて、私も安心しました」


 向かい側に戻ってロード様を見ると、その胸にアミュレットが下がっていてなんとも言えない嬉しさと安心が募る。


「せっかく来ていただいたし、一緒にお茶飲みませんか?」

「あぁ。そうしようかな」

「ふふ。リゼ!」

「はいセーラ様。お呼びでしょうか」

「ロード様の分と私の分、飲み物と何かおやつを用意してくれる?」

「かしこまりました」


 リゼがテキパキと準備してくれているのを見つめ、ロード様に先日の魔獣のことを聞く。
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