再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
***
翌日。
私は朝からリゼに新しいドレスを着せてもらい、いつもより強めのメイクを施してもらう。
これは、私の覚悟だ。
鏡を見て、深呼吸を繰り返す。
「……リゼ、行ってくるね」
「はい。お気を付けて。行ってらっしゃいませ」
見送ってもらい、私は王様の元へ向かう。
「セーラ」
「ロード様。おはようございます」
「おはよう。謁見に行くんだって?」
「はい」
「……覚悟が決まったんだな」
嬉しそうなロード様に頷くと、手を差し出してくれた。どうやらエスコートしてくれるようで、私も自分の手をそっと重ねる。
「この間も言ったけど、俺はセーラの決めたことを尊重するから。遠慮せず好きにやってこい」
「ふふ、一国の王子様のセリフとは思えませんね」
「俺は王子であると同時に、セーラの良き理解者だからな」
その言葉に、ドクンと胸が高鳴る。
「……心強いです」
そう答えるのがいっぱいいっぱいで、鼓動が聞こえてしまいそうなほどにうるさく鳴り響いていた。
扉の前で、また深呼吸をする。
「……大丈夫か?」
そんな私をロード様は心配そうに見てくるけれど、
「はい。大丈夫です」
私は正面だけを見て頷く。
「行ってこい。俺はここで待ってるから」
言葉と共に、ロード様の手が離れる。
指先が滑り落ちる時に、どうしようもない寂しさを感じてその手を握りしめたくなった。
だけど、それを我慢してドレスの前で小さく拳を握る。
そして、扉が開かれた。
中に入ると、いつもの玉座に座る王様のお姿が。
御前に歩み寄り、カーテシーを行う。
「聖女セーラか」
「はい。本日は突然お時間をいただいてしまい申し訳ございませんでした」
「いや、何か話があったのだろう。構わぬ」
「恐れ入ります」
そのまま頭を下げていると、
「面をあげなさい」
と言われてその通りに顔を上げた。
「それで、結論が出たのだな?」
早速本題に入る王様に、私はごくりと唾を飲み込み視線を上げる。
真剣な眼差しの王様と目が合った。
「王様。恐れながら、結論をお伝えする前に、一度私の話を聞いていただけないでしょうか」
「……ほう、話とは?」
「私が元の世界に戻ってから、再びこちらのドラムトン王国に召喚されるまでの話です」
何度も考えて、何度も悩んで。
私はまず、ロード様に話したことと同じことを王様にも話すことにした。
「……いいだろう。話してみなさい」
「ありがとうございます」
王様に許可をいただき、私はぽつりぽつりと頭で整理しながらこれまでの話をした。
王様は途中で口を挟んだりせず、その一つ一つを丁寧に聞いてくれた。王様を責めるような発言があり側近の方が一歩踏み出そうとしても、敢えてそれを止めて私が話終わるのをじっと待っていてくれた。
過去のことを全てを話し終わると、わずかに沈黙が訪れる。
「私は……この国に召喚されたことによって、失礼ながら"自分と母の人生を台無しにされた"と感じていました。だから再び召喚された時、絶望してしまったのです」
「……そうだったのか。知らなかったとは言え、当時も今も国のことばかりを考えすぎて、そなたの人生のことまで考えてやれていなかった。そなたを苦しめてしまっていたんだな。申し訳なかった」
王様はそう言ったかと思うと当たり前のように私に頭を下げるものだから、驚いてしまう。
「王様、頭を上げてください……私なら、大丈夫ですから」
そう伝えるのが精一杯で、王様が顔を上げてくれてようやくホッと一息つくことができた。
翌日。
私は朝からリゼに新しいドレスを着せてもらい、いつもより強めのメイクを施してもらう。
これは、私の覚悟だ。
鏡を見て、深呼吸を繰り返す。
「……リゼ、行ってくるね」
「はい。お気を付けて。行ってらっしゃいませ」
見送ってもらい、私は王様の元へ向かう。
「セーラ」
「ロード様。おはようございます」
「おはよう。謁見に行くんだって?」
「はい」
「……覚悟が決まったんだな」
嬉しそうなロード様に頷くと、手を差し出してくれた。どうやらエスコートしてくれるようで、私も自分の手をそっと重ねる。
「この間も言ったけど、俺はセーラの決めたことを尊重するから。遠慮せず好きにやってこい」
「ふふ、一国の王子様のセリフとは思えませんね」
「俺は王子であると同時に、セーラの良き理解者だからな」
その言葉に、ドクンと胸が高鳴る。
「……心強いです」
そう答えるのがいっぱいいっぱいで、鼓動が聞こえてしまいそうなほどにうるさく鳴り響いていた。
扉の前で、また深呼吸をする。
「……大丈夫か?」
そんな私をロード様は心配そうに見てくるけれど、
「はい。大丈夫です」
私は正面だけを見て頷く。
「行ってこい。俺はここで待ってるから」
言葉と共に、ロード様の手が離れる。
指先が滑り落ちる時に、どうしようもない寂しさを感じてその手を握りしめたくなった。
だけど、それを我慢してドレスの前で小さく拳を握る。
そして、扉が開かれた。
中に入ると、いつもの玉座に座る王様のお姿が。
御前に歩み寄り、カーテシーを行う。
「聖女セーラか」
「はい。本日は突然お時間をいただいてしまい申し訳ございませんでした」
「いや、何か話があったのだろう。構わぬ」
「恐れ入ります」
そのまま頭を下げていると、
「面をあげなさい」
と言われてその通りに顔を上げた。
「それで、結論が出たのだな?」
早速本題に入る王様に、私はごくりと唾を飲み込み視線を上げる。
真剣な眼差しの王様と目が合った。
「王様。恐れながら、結論をお伝えする前に、一度私の話を聞いていただけないでしょうか」
「……ほう、話とは?」
「私が元の世界に戻ってから、再びこちらのドラムトン王国に召喚されるまでの話です」
何度も考えて、何度も悩んで。
私はまず、ロード様に話したことと同じことを王様にも話すことにした。
「……いいだろう。話してみなさい」
「ありがとうございます」
王様に許可をいただき、私はぽつりぽつりと頭で整理しながらこれまでの話をした。
王様は途中で口を挟んだりせず、その一つ一つを丁寧に聞いてくれた。王様を責めるような発言があり側近の方が一歩踏み出そうとしても、敢えてそれを止めて私が話終わるのをじっと待っていてくれた。
過去のことを全てを話し終わると、わずかに沈黙が訪れる。
「私は……この国に召喚されたことによって、失礼ながら"自分と母の人生を台無しにされた"と感じていました。だから再び召喚された時、絶望してしまったのです」
「……そうだったのか。知らなかったとは言え、当時も今も国のことばかりを考えすぎて、そなたの人生のことまで考えてやれていなかった。そなたを苦しめてしまっていたんだな。申し訳なかった」
王様はそう言ったかと思うと当たり前のように私に頭を下げるものだから、驚いてしまう。
「王様、頭を上げてください……私なら、大丈夫ですから」
そう伝えるのが精一杯で、王様が顔を上げてくれてようやくホッと一息つくことができた。