再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「だってお母さん、世羅のお母さんだもの。他の誰も信じなくても、お母さんだけは絶対に世羅の味方。世羅のこと、ちゃんと信じてるわ。だから世羅が気に病む必要なんてないのよ」

「お母さんっ……お母さんっ」


 また涙が止まらなくなって、もう一度抱きつく。


「ふふ、身体は大人になったのに、まだまだ中身は子どもね? 泣き虫になっちゃって。そんな泣いてばかりでやっていけてるの?」


 頷いて、ぎゅう、とさらにキツく抱きつくとお母さんは楽しそうに笑う。


「ねぇ世羅。今までどう暮らしてきたのか、お母さんに教えてくれる?」


 お母さんの言葉に、私はしばらくこれまでのことを話し始めて。

 お母さんは、ずっと私を抱きしめながら話を聞いてくれた。


「……そんなことがあったのね」

「……信じてくれるの?」

「もちろん信じる。だって、世羅はそんな嘘をつくような子じゃないもの」


 涙を拭いてくれて、私の両手をきゅっと握って。


「でも、まだ終わってないのよね?」

「……うん」

「大切な人たちのために、まだまだ頑張らないといけないのよね?」

「……うん」

「そう、自分で決めたのよね?」

「っ、うん」

「じゃあ、こんなところで泣いてる場合じゃないわね」


 お母さんは、私の大好きな笑顔でそう言う。


「世羅なら大丈夫よ。だって、私の大切な自慢の娘だもの。自信を持って。そして、自分の気持ちを一番大切にしなさい」

「え?」

「自分の気持ちに正直になりなさい。世羅が、後悔しない道を選びなさい。世羅がどんな決断をしても、お母さんは全てを尊重するわ」


 それはきっと、全てが終わった時のことを言っていて。


「お母さん、ずっと世羅のことを見守ってるからね。一人じゃないからね。世羅の周りには、たくさんの人がいる。つらくなる前に周りに頼りなさい。苦しくなる前に相談しなさい。そして、笑顔を忘れずにね。……大好きよ。世羅」


 お母さんは、そう言うと静かに笑って。

 そしてそのまま、光の粒になって消えて行ってしまった。
 
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