再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「意志のない存在が急に私だけを狙うなんて……そんなの」

「セーラ?」

「そんなの、まるで誰かが私を排除しようと裏で操っているみたいじゃないで、す……か……」

「裏、で……?」


 自分で言いながら、とんでもない可能性に当たった気がして言葉を失う。

 それはロード様も同じだったようで。


「セーラが浄化に行くようになって急に瘴気の広がりも早くなった。そもそも瘴気が現れる場所も増えたんだ。……もし、それを誰かが意図的にしていたとしたら……」

「それ、って……」

「あぁ。セーラが浄化に関わっていることは王宮の人間と神殿の人間くらいしか知らない。……つまり」

「私たちの周りに、いるかもしれない……っていう、ことですか……?」


 頭をガツンと殴られたような衝撃に、立っていられなくて座り込む。


「セーラ!」


 それをロード様がすんでのところで支えてくれて、そのまま抱きしめてくれる。


「大丈夫だ。大丈夫だセーラ。セーラは何も心配しなくていい。俺が、俺たちがみんなでセーラを守るから」


 ガクガクと身体が震える私に、ロード様は何度も背中を摩ってくれた。


「仮に、そうだとしたら。どうして私を……」

「瘴気を意図的に引き起こすことによって何かを企てているんだとしたら、それを浄化するセーラの存在は……邪魔でしかないんだろう」


 ドラムトン王国のためを思ってやっていることが、誰かの足枷になっている。

 だから、狙われた。


「ということは、まだある浄化先で、どうやって気を付ければ」

「もっと露骨に狙われる可能性もある。どうにか対策を練らないとな」


 その後セイロン様が目を覚ますまで、私たちはどうすべきか今後のことをずっと話していた。

 やはりロード様に話しに来たのは正解だったと思う。

 セイロン様の目が覚めてからは、今の仮説をセイロン様にも聞いてもらった。


「確かに……そう考えると全て辻褄が合うかもしれませんね」

「だとしたら、そもそも何らかの目的で瘴気を作り出してる人物がいることになる」


 それは一体どんな目的なのだろう。


「……あの、さっきも思ったんですけど、瘴気を作り出すなんてそんなこと可能なんですか?」


 瘴気は災害のように自然発生するものだと思っていたから、作り出すと言われても正直ピンとこない。


「理論上、不可能ではないんだ。国史によると、千年ほど前に他国との戦争の際に瘴気を生み出して他国を攻めていた記録がある」

「そんな……」

「もちろん、瘴気を作り出すその方法自体は記録に残っていない。作り出すとしたら、相当の年月をかけて研究してきた者の仕業だろう」

「それってつまり、私が一度目に召喚された時の瘴気も、もしかしたら……」

「そうだな。関係あるかもしれない」


 だんだん、全てが繋がってきたような気がした。
< 79 / 110 >

この作品をシェア

pagetop