再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

「……セーラ、傷は……」

「塞がりました……!」


 かざしていた手を下ろすと、さっきまで黒く変色していたセイロン様の足は健康的な赤みを取り戻し、傷口などどこにあったのかわからないほどに綺麗に修復された。


「ひとまずこれで安心だな。セーラ、ありがとう」

「お礼を言うのは私の方です。ロード様、サポートしてくださりありがとうございました」


 眠ってしまったセイロン様をロード様が運び、私は処置室を出て、女神様の前に座り込む。


「女神様。ご加護を、ありがとうございました……」


 両手を組んで見上げると、なぜか女神様が泣いているように見えた。

 いつも微笑んでいるその表情は変わらないはずなのに、なぜか見えないはずの涙が見えるのだ。


「女神様……?」


 やはり、何かがおかしいのかもしれない。

 私にしか感じられない気配。今まで見たことのない瘴気の濃さ。見つけられない源。

 一体どういうことなのだろう。

 何が、今までと違うところはなかっただろうか。少しでも違和感のある場所は、なかっただろうか。


「そうだ……あの魔獣は、私を襲おうとしていた……」


 一直線にこちらに向かってきていた。私を狙っていた?どうして?


「ロード様と、話さなきゃ……」


 魔獣に関して何も知らない私が考えたって、限界がある。それならば、詳しいロード様の意見を聞くのが一番早い。


「女神様。待っててください。必ず、ドラムトンを救ってみせますから」


 一礼して、私はロード様を追いかけるように女神様の前を立ち去った。


「ロード様!」

「セーラ、どうした」

「セイロン様のご様子は?」

「今はまだ眠っているよ。神官によると魔力も落ち着いているようだし、瘴気の影響はもう無いと思う」

「良かった……」


 改めて問題なさそうなのを聞いて安心する。そして、ロード様に今考えていたことを話した。


「そうだな。俺も思っていたんだ。あの魔獣は確実にセーラを狙っていた。セーラだけを狙っていたんだ」

「私、だけ」

「あぁ。本来、魔獣というものは意志を持つようなモノではない。目の前に獲物がいれば、誰彼構わずに襲いかかるはずだ。それが、セーラだけを狙っていた」


 そんな存在が、どうして私を。


「それは、私が聖女だからですか……?」

「わからない。ただ、何かしら関係している可能性は大いにあると思う」


 私は再召喚された身であり、浄化に関わり始めたのはつい最近だ。
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