再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「他にわかったことは」
「はい。やけにハリスの瘴気が濃かったのは、その地形の影響もありました。山に囲まれている分、風が通りづらく瘴気が溜まっていってしまう。そしておそらく、魔獣の反応がセーラ様にしか感じられなかったのは、魔獣の発生した場所が魔鉱山の中だからだと思われます」
「……魔鉱山の中、か」
「はい。そしてその魔獣も大型で身のこなしの軽い獣のような姿。山の中で生まれ、そこから一気に飛び降りてきたために我々は気配が感じられる前に襲われてしまった。セーラ様はなんらかの理由でその魔獣に狙われていたため、唯一気配を直前に察知できたのかと」
「なるほどな……」
確かにその理由なら全てが繋がる。
「もしかしたら魔鉱山の中に何か特別な装置のようなものがあるのかもしれません。全ての瘴気がそこから生まれ、何らかの方法で広がっている可能性も」
「言われてみれば、ハリスの周りの地域が一番被害が多いな」
「はい。検証の余地はあるかと」
「しかしそれならば神官だけでは心許ないだろう。騎士団を含めて調査隊を結成する。まずは今の内容と調査に関してを王様に進言してくる。二人はこのままここにいてくれ」
「はい」
「承知しました」
ロード様は資料を持ってそのまま応接間を出ていく。
私は、地図に目を落としじっと何かを考えているセイロン様を見つめた。
あんな怪我を負った直後なのに、もうこんなに調査が進んでいる。それはセイロン様含め皆が優秀なのもあるのだろう。だけど。
「……セイロン様」
「……っ、どうしました?」
「セイロン様、無理しないでくださいね」
「……え?」
セイロン様が無理をしているのではないかと気が気でない。
「いくら浄化で怪我が治ったとはいえ、まだ病み上がりです。調査はもちろん大事ですけど、無理をされてるんじゃないかと思って。……すみません。余計なお世話ですよね」
一番無理して周りに迷惑をかけた私が言えたことではない。そう気が付いて、恥ずかしくて下を向く。
だけど、セイロン様は
「セーラ様。セーラ様は本当にお優しいですね」
そう柔らかい声で言ってくれるから、思わず顔を上げてセイロン様を見つめる。
「ですがお気になさらずとも大丈夫です。セーラ様に救っていただいた命を無駄にするわけにはいきませんので」
「……そんな、命を救っていただいたのはむしろ私の方ですよ」
「ははっ、あんなの救ったうちに入りません。セーラ様は神殿にとって母のようなもの。……僕にとっては妹のような存在ですけどね。そんなあなたをお守りするのが僕の役目なのですから」
セイロン様は頑なにそう言い続け、最終的に私が諦めた。
ただ、無理をしてはいないと言い切られなかったところに不安は残る。
「……セイロン様、もしかしてまだ何かわかったことがあったのでは?」
ただ、その表情が暗く見えたから。まだ何かあるんじゃないかと思ったけれど、セイロン様は
「引っかかっていることはあります。ただ、まだ確実ではないので殿下には報告できません」
と苦笑いをする。
「でも、相談してみれば何か答えが見つかるかも……」
私だって話を聞くことくらいできる。何か役に立てるかもしれない。
そう思って一度引き下がってみるけれど、
「……そうでなければいいのにと、思っているので」
「え?」
「この仮説が、そうでなければいい。そう思いたいので、話せないのかもしれません」
セイロン様の切なげに微笑む姿を見てしまったら、私は何も言えなくなってしまった。
「はい。やけにハリスの瘴気が濃かったのは、その地形の影響もありました。山に囲まれている分、風が通りづらく瘴気が溜まっていってしまう。そしておそらく、魔獣の反応がセーラ様にしか感じられなかったのは、魔獣の発生した場所が魔鉱山の中だからだと思われます」
「……魔鉱山の中、か」
「はい。そしてその魔獣も大型で身のこなしの軽い獣のような姿。山の中で生まれ、そこから一気に飛び降りてきたために我々は気配が感じられる前に襲われてしまった。セーラ様はなんらかの理由でその魔獣に狙われていたため、唯一気配を直前に察知できたのかと」
「なるほどな……」
確かにその理由なら全てが繋がる。
「もしかしたら魔鉱山の中に何か特別な装置のようなものがあるのかもしれません。全ての瘴気がそこから生まれ、何らかの方法で広がっている可能性も」
「言われてみれば、ハリスの周りの地域が一番被害が多いな」
「はい。検証の余地はあるかと」
「しかしそれならば神官だけでは心許ないだろう。騎士団を含めて調査隊を結成する。まずは今の内容と調査に関してを王様に進言してくる。二人はこのままここにいてくれ」
「はい」
「承知しました」
ロード様は資料を持ってそのまま応接間を出ていく。
私は、地図に目を落としじっと何かを考えているセイロン様を見つめた。
あんな怪我を負った直後なのに、もうこんなに調査が進んでいる。それはセイロン様含め皆が優秀なのもあるのだろう。だけど。
「……セイロン様」
「……っ、どうしました?」
「セイロン様、無理しないでくださいね」
「……え?」
セイロン様が無理をしているのではないかと気が気でない。
「いくら浄化で怪我が治ったとはいえ、まだ病み上がりです。調査はもちろん大事ですけど、無理をされてるんじゃないかと思って。……すみません。余計なお世話ですよね」
一番無理して周りに迷惑をかけた私が言えたことではない。そう気が付いて、恥ずかしくて下を向く。
だけど、セイロン様は
「セーラ様。セーラ様は本当にお優しいですね」
そう柔らかい声で言ってくれるから、思わず顔を上げてセイロン様を見つめる。
「ですがお気になさらずとも大丈夫です。セーラ様に救っていただいた命を無駄にするわけにはいきませんので」
「……そんな、命を救っていただいたのはむしろ私の方ですよ」
「ははっ、あんなの救ったうちに入りません。セーラ様は神殿にとって母のようなもの。……僕にとっては妹のような存在ですけどね。そんなあなたをお守りするのが僕の役目なのですから」
セイロン様は頑なにそう言い続け、最終的に私が諦めた。
ただ、無理をしてはいないと言い切られなかったところに不安は残る。
「……セイロン様、もしかしてまだ何かわかったことがあったのでは?」
ただ、その表情が暗く見えたから。まだ何かあるんじゃないかと思ったけれど、セイロン様は
「引っかかっていることはあります。ただ、まだ確実ではないので殿下には報告できません」
と苦笑いをする。
「でも、相談してみれば何か答えが見つかるかも……」
私だって話を聞くことくらいできる。何か役に立てるかもしれない。
そう思って一度引き下がってみるけれど、
「……そうでなければいいのにと、思っているので」
「え?」
「この仮説が、そうでなければいい。そう思いたいので、話せないのかもしれません」
セイロン様の切なげに微笑む姿を見てしまったら、私は何も言えなくなってしまった。