再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
***
「王様! お二人が捕らわれたって、一体どういうことですか!?」
「セーラ殿。……一足遅かったようだ。ハリスの魔鉱山に入ったロードたちの消息がわからなくなった」
「どうして!」
「カイエン・フォードだ。カイエンが、二人を捕らえて魔鉱山の最奥まで連れ去った、と」
「そんな……!」
やはりカイエン様が……!?魔鉱山の最奥にって、どうして……!
「カイエン様はなんと!?」
「……セーラ殿。そなたを呼んでいるらしい」
「わ、たしを?」
「あぁ。そなたを差し出せば、ロードとセイロンは解放すると。そう言って消えたと報告が来ている」
私と、二人の交換ということ?
それならば。
「王様、行かせてください!」
「ならぬ」
「なっ、どうしてですか!」
「そなたなら真っ先にそう言うと思っておった。だが、そう易々とそなたを渡すわけにはいかない」
だけど、この国にとってはロード様とセイロン様の方が大切に決まっている。私よりも何倍も価値のある二人だ。その二人を助けられるのなら、私なんて……
「そなたを渡すことによって二人が解放されたとして。あの二人が喜ぶと思っておるのか?」
「……そ、れは」
「あの二人なら、わしを怒鳴りつけてでもそなたを守るように言うだろう」
そんなこと言ったって、魔鉱山は魔石が溢れるほどあるはず。そう考えたら悩んでいる時間なんてないはずなのに。
「例え怒鳴りつけられたとしても! 今のドラムトン王国にとって大切なのはロード様とセイロン様のはずです! お二人を失うわけにはいかないでしょう! 王様! 私なら大丈夫です! 行かせてください!」
「セーラ殿……」
王様も苦しんでいる様子だった。瘴気の浄化を考えると、私を手放すのが惜しいのかもしれない。だけど、絶対に優先すべきはロード様とセイロン様だ。
「もういいです! 王様がご決断くださらないのなら、私が勝手に行きますから!」
「なっ……なにを!」
「私はロード様とセイロン様に何度も命を救っていただいているのです! 今、私が行くことでお二人を助けられるのなら迷いなんてありません! 今行かなければ、私は一生後悔します! 大丈夫、私だって聖女です。そう簡単に死にはしませんから!」
それだけ叫んで、私は王様の元から飛び出す。
そして以前入った、ハリスへと向かう転移魔法陣の場所まで走った。
大きく息を吸って、そしてゆっくりと吐く。
「……よし」
女神様。どうか力を貸してください。私は、二人を助けたい。この国を助けたいんです。
それだけを胸に、足を踏み出した。