再召喚され全てを失った元聖女は、麗しの騎士団長様の溺愛で絶望から立ち上がる。
「ハリスに閉じ込められた一族は、瘴気に関する記憶を魔法で消されてしまった。しかし、一族の子どもたちだけは消されなかった。そこにいたんですよ、フォードの一人息子が。散々戦争で利用しておいて、自分の身が危うくなったら投獄する。そんな王への恨みが募り。……そこから、長い長い復讐が始まったのです」
「……っ」
「その一人息子は、瘴気がハリスの魔鉱山にある魔石を元にしていると知っていた。そのため、長い年月をかけて他の子どもたちと協力して新たな瘴気を生み出すことにした。自分たちで叶えられなくても、いつか自分の子孫がフォードという名を歴史に刻めるように。再び、権力を握り玉座に座る日を夢見て。……そして今、私がついにその方法を解明したのです」
確かにフォード公爵は可哀想だと思う。だけど、それとこれとは話が別だろう。
「……しかし皮肉なものです。私以外の一族の者は皆、この日を夢見て瘴気を生み出している間に、その瘴気に呑まれていきました」
「っ」
「わかるでしょう? 同じように一人でこの地にいるセーラ様なら、わかってくださいますよね? もう、私しかいないのです! たった一人取り残された私が、ついに瘴気を生み出し兵器として使うことに成功したのです。これでようやく一族の恨みを晴らし、私が王に。なれるはずだった! ようやく復讐が終わるはずだった! ……それなのに、突如あなたが現れてしまった」
射抜くように見つめられ、ゾク、と背中に嫌なものが這う。
「聖女の召喚なんて、御伽話だと思っていました。しかしあなたはある日突然やってきた。そして、とても立派に聖女としての務めを果たした」
「……」
「国を救って、褒美をもらって。さぞ幸せだったでしょう。さぞ良い気分だったでしょう。聖女として見られながら誰からも崇められる気分はどうでした? 気持ち良かったですか?」
「カイ、エン……さま」
「王も、本当に余計なことをしてくれましたよね。まさか聖女を召喚するなんて。しかも一度ならずも二度までも! ここまで邪魔をされてしまうと、もうどうすることもできなかった」
「だから、こんなことを?」
「えぇ。そうでもしないと、私は王にはなれませんから」
歪んだ笑顔は、もう私の知っているカイエン様ではなかった。
王権を狙う反逆者、フォード公爵の末裔、カイエン・フォードでしかなかった。
それは、信頼していた私の心をズタズタに引き裂くもので。
「どうですか? 信じていた相手が、疑いもしていなかった相手が黒幕だった感想は。今、どんな気持ちですか?」
完全に光を失った双眼が私を捉えた。
「……っ」
「その一人息子は、瘴気がハリスの魔鉱山にある魔石を元にしていると知っていた。そのため、長い年月をかけて他の子どもたちと協力して新たな瘴気を生み出すことにした。自分たちで叶えられなくても、いつか自分の子孫がフォードという名を歴史に刻めるように。再び、権力を握り玉座に座る日を夢見て。……そして今、私がついにその方法を解明したのです」
確かにフォード公爵は可哀想だと思う。だけど、それとこれとは話が別だろう。
「……しかし皮肉なものです。私以外の一族の者は皆、この日を夢見て瘴気を生み出している間に、その瘴気に呑まれていきました」
「っ」
「わかるでしょう? 同じように一人でこの地にいるセーラ様なら、わかってくださいますよね? もう、私しかいないのです! たった一人取り残された私が、ついに瘴気を生み出し兵器として使うことに成功したのです。これでようやく一族の恨みを晴らし、私が王に。なれるはずだった! ようやく復讐が終わるはずだった! ……それなのに、突如あなたが現れてしまった」
射抜くように見つめられ、ゾク、と背中に嫌なものが這う。
「聖女の召喚なんて、御伽話だと思っていました。しかしあなたはある日突然やってきた。そして、とても立派に聖女としての務めを果たした」
「……」
「国を救って、褒美をもらって。さぞ幸せだったでしょう。さぞ良い気分だったでしょう。聖女として見られながら誰からも崇められる気分はどうでした? 気持ち良かったですか?」
「カイ、エン……さま」
「王も、本当に余計なことをしてくれましたよね。まさか聖女を召喚するなんて。しかも一度ならずも二度までも! ここまで邪魔をされてしまうと、もうどうすることもできなかった」
「だから、こんなことを?」
「えぇ。そうでもしないと、私は王にはなれませんから」
歪んだ笑顔は、もう私の知っているカイエン様ではなかった。
王権を狙う反逆者、フォード公爵の末裔、カイエン・フォードでしかなかった。
それは、信頼していた私の心をズタズタに引き裂くもので。
「どうですか? 信じていた相手が、疑いもしていなかった相手が黒幕だった感想は。今、どんな気持ちですか?」
完全に光を失った双眼が私を捉えた。