恋愛する気はなかったのに、年下の彼に甘やかされてます

「あ"ぁぁぁぁー………」

露天風呂に浸かった瞬間、

変な声が漏れた。

「やばい…」

「クハハッ」

「生き返るぅぅー」

「おばあちゃんか」

「失礼な」

ふふふっと笑いながら、

けいくんの胸元にもたれかかる。

いつもの。

私専用の背もたれ。

「重くね?」

「知らなーい」

「クハハッ」

肩に腕が回る。

あったかい。

お風呂なのに、

もっとあったかい。

ぼーっと海を眺めていると、

少しずつ空の色が変わっていく。

青かった空が、

ゆっくりオレンジ色に染まっていく。


「夕日…」

海に、

オレンジの光が広がっていた。

綺麗。

ただ、

綺麗で。

言葉が出ない。


すごい。

こんな瞬間を、

けいくんとこんな風に

見れるなんて。



ふと、

後ろを振り返る。

……。

「けいくん」

「ん?」

目が合う。

「夕日見なよ」

「見てる」

「いや、私見てたじゃん」

「クハハッ!真奈ちゃんが呼んだんでしょ」

「ん?」

「夕日見なよ」

「……あ」

「クハハッ」

どちらからともなく、

ふふっと笑った。

そして、

沈んでいく夕日を見る。

回された腕を抱きしめ、

指を絡めて繋いだ。

「……ありがと」

小さく呟く。

頭に、

そっと唇が落ちた。

「おん」
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