恋愛する気はなかったのに、年下の彼に甘やかされてます
どれくらい、

時間が経ったんだろう。

荒かった呼吸も、

少しずつ落ち着いていく。


静かな部屋。


聞こえるのは、

波の音と。

重なる呼吸。



「……はぁ」

力が入らない。

完全に、

溶けた。



「……真奈ちゃん」

「……んー?」

掠れた声。

もう返事すら、

まともにできない。


「大丈夫?」

「……たぶん、むり」

「クハハッ、ヤバかった?」

背中を撫でる手が、

やけに優しい。


「ヤバかったよぉ……。ねぇ、…お風呂」

「ん?」

「夜のお風呂……」

「……ククッ」

「……まだ、入ってない……」

「入りたいの?」

「当たり前でしょぉ……」

か細い声で抗議する。



すると。

ぎゅっ。

抱き寄せられる。

「……もうちょい充電」

「……えぇ」

「クハハッ」

額に、

軽いキス。

「冗談」

「……びっくりしたぁ」

「立てる?」

「……たぶん」

「たぶんかよ」

ふふっと笑う。



そのまま、

抱き上げられる。

「……え!?」

「掴まって。落ちるぞ」

「ちょ、まっ……!」

「クハハッ」

月明かりが差し込む中、

露天風呂へ向かう。



さっきより少し気怠い体。

大海原に揺れる月。

満天の星空。



でも。

後ろにいるのは、

やっぱり。

一番落ち着く、

私専用の背もたれだった。
< 211 / 275 >

この作品をシェア

pagetop