恋愛する気はなかったのに、年下の彼に甘やかされてます
ーー三月。

繁忙期。

決算前。

相変わらず忙しい。

それでも、

週末はアイツと会ってる。

「お疲れ様です」

「ああ。お疲れ」

夜。

会社を出る。

ようやく終わった。

風、つよ。

車へ向かう途中。

「……けい」

足が止まる。

聞き覚えのある声。

振り返る。

……。

「何してんの?」

街灯の下。

懐かしい顔。

元カノが立っていた。

ロングヘアの髪を巻いて、

白のシフォンのブラウス。

風に揺れるピンクのスカート。

「久しぶり」

片側の髪を耳にかけながら笑う。

「……用件」

「はは。相変わらずだね」

「で?」

バッグから差し出されたのは

ハンカチにくるまれた物。

「これ、返そうと思って」

ロレックス。

別れる前に、

忘れてったやつ。
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