親友の御曹司が溺愛彼氏になった一夜
「どうした?白石」

私は部長を見た。

「悠真を、馬鹿にしないでください」

そう言うと悠真が立ち上がった。

「悠真は、親の七光りで社長になる人じゃありません」

辺りがシーンとする。

「御曹司が平社員だって、いいじゃないですか。仕事を懸命にやってるだけですよ」

あまりにも悔しくて、涙が出て来た。

その瞬間、悠真が私を片腕で抱き寄せた。

「もういいから」

「よくないよ」

「美桜」

悠真が私の背中をトントンと叩く。

「美桜がいれば、それだけでいいんだ」

悔しいのは、悠真も一緒なのに。

その悔しさを微塵も見せないなんて。

「いつか、分かる時が来るよ」

「……うん」

そして悠真は、私に笑顔を見せるとまた自分のデスクに戻った。
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