醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

1.今更

『皮膚病が移る。こんな醜い女を、未来の王妃になどできるわけがないだろう』
 冷たい声が、クルーシー侯爵家の玄関ホールに響いた。

 大理石の床に反射したその言葉は、まるで刃物のようにエリシアの胸へ突き刺さる。
 かつて彼女を慈しんで見つめていたブルーサファイアの瞳は、氷のように冷え切っていた。

 ――パトリス・ノイダン王太子。

 三年前、誰よりも熱烈にエリシアへ求婚したその人が、今は彼女を「汚らわしいもの」として見下ろしている。

 王国一の美少女と謳われた十五歳のエリシアの顔は、赤黒く腫れ上がり、まるで岩肌のようにごつごつとしていた。
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