醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 きらきらと輝いていたピンクルビーの瞳は、膨れ上がった肉に押し込められ、わずかに覗くだけだ。

 鏡を見るたび、息が止まりそうになる。

 それでも、エリシアは信じていた。

 パトリスは変わらず自分を愛してくれると。

 しかし、その希望は、たった一言で踏みにじられた。
 エリシアはこの瞬間、十二歳の時から心を捧げてきた初恋を失った。

『出ていってちょうだい! 姉がそんな醜かったらクリフの将来に関わるのよ!』

 母クリスティナの声は甲高く、かつて毎晩のように頬擦りしてくれた面影はそこにはない。
 美しいドレスに身を包んだその人は、エリシアをまるで穢れた物でも見るような目で追い払った。

< 2 / 234 >

この作品をシェア

pagetop