醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 エリシアは思わず本音が漏れる。
 妃教育をしていた時は生涯の住居になるかも知れなかった場所が、今は居るだけで吐き気がする場所だ。

「お疲れですか? 聖女様」
 ブレイクの声は、あまりにもよそよそしかった。
 先程まで軽口を叩き合っていたはずなのに、急に距離を取るような仰々しい態度。

 エリシアは、胸の奥に小さな寂しさを覚える。

 ここは王宮で、彼は王太子の補佐官で自分は聖女。
 二人は孤島で過ごした時のように肩を並べられない。

 少し寂しさを感じながら、一歩、王宮の中へ足を踏み入れた瞬間だった。
 視界の先に、見覚えのある二人の姿が映る。

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