醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。

11.家族との再会

「家族に顔も見せず、どうしたことだ。しかしながら、感染症対策に関してはよくやった。パトリス王太子の婚約者としても、返り咲けたな」
 マルケルの淡々とした口調。

 そこには、娘を案じる気配も、過去を悔いる色もない。

 エリシアの背中を、冷たいものが走る。

 まるで、知らない人間を見ているような感覚。
(なんなの? この人が私の父親だったかしら?)

 十年前、自分を追い出した事実。
 醜さと痛みに苦しみ、居場所を失い生きることさえままならなかった日々。
 自分の苦しみが全てなかったことにされている。

 王宮の高い天井の下。
 エリシアは、自分の足元がひどく不安定になった気がした。

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