醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 だが、その胸元で静かに輝くのは、神殿に保管されていた国宝の淡い薔薇色を宿すピンクダイヤモンドのネックレス。

 神聖さと、抗えない存在感。
 歓声と羨望が渦巻く中、エリシアの胸は不思議なほど満たされなかった。
(虚しい⋯⋯)

 やがて、オーケストラが優雅な旋律を奏で始める。
 リオネルが一歩近づき、自然な動きで手を取った。

「参りましょう、エリシア様」
 その声は低く、耳に心地よい。

 導かれるままに、二人はフロアの中央へと進む。
 リオネルのダンスは完璧だった。
 指先は強すぎず、確かに彼女を支え視線は終始エリシアだけを追っている。

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