醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 歳下の彼が背伸びして伝えてくれている必死の言葉だとエリシアは解釈していた。

 でも、今なら分かる。
 パトリスは自分の言葉でエリシアを落とす事に酔っていただけだ。

 音楽が、終わり拍手が起こる。
 完璧なパートナーのように見える二人。

 エリシアは怯えたようにパトリスから離れようとするが、彼はエリシアを離さなかった。
 最後のポーズのまま、彼女の耳元で囁く。

「エリシア。僕は君を絶対に手放さないよ」
 甘く、優しい声が身体中を這う蛇のように気持ち悪い。
 エリシアはパトリスの胸を思いっきり突き放すと、バルコニーに逃げ出した。

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