醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
 息苦しい胸を抱えながらエリシアはバルコニーで満点の星空を眺める。

「満月なのね」
 美しい黄金の月が彼女を見つめている。

 この月を怖いと思った時があった。
 エリシアは過去を思い出していた。

 魔獣の森で食料をこじきのように探していた夜。
 恐ろしい黄金の目をした魔獣と目が合った。
(喰われる)
 そう思ったエリシアは踞った。

 満月の美しい夜だった。

 死にたいくらい苦しい毎日なのに命を繋ぐことばかり考えていた。
(人からは拒絶されて、魔獣に食べられて終わり?)

 エリシアが絶望した時に、恐ろしい姿をした魔獣は彼女に頬擦りをした。

< 149 / 234 >

この作品をシェア

pagetop