醜い私が美貌の聖女になったら、危険な恋をして国が滅びた。
(温かい。醜い私を自分の子だとでも勘違いしてる?)

 魔獣が何を考えているなどどうでも良い。
 その時のエリシアにはその温もりが恋しかった。

 今まで信じていた全てのものに捨てられたのに温もりを欲していた。
 誰でも良い。何でも良い。自分の側にいてくれるなら。

「本当に消えてしまったの? 私が消したのね」
 エリシアをどうしようもない罪悪感が襲う。
 孤独な十年を支えてくれた存在は人から忌み嫌われる魔獣。

 十年も支えてくれた存在を、自分が聖女の力で消してしまったらしい。

「私が一番の裏切り者ね」
 エリシアはバルコニーの柵を乗り越える。

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